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2014.02.20 10:28

欲求不満な リメンバーガール by ダイ

少女、千鳥かなめは今、時の止まっている自室の洗面所。
あの時、宋介の散髪をやった時の洗面所の入り口付近に立っていた。
二人とも、止まっている。
かなめは鋏を今、動かそうとしている所。
宋介は話を始めていた。口を開いたままであった。
(行かなきゃ…)
意識だけのかなめは体にスゥッと入っていく…。
そして、時が始まった。
「どうした?千鳥」
いきなりのことで少し戸惑う。
「ううん、なんでもないよ」
なんとも懐かしい雰囲気、この瞬間が帰ってくるのをどれだけ待ち望んだことか。
「ソースケ、アタシ、ソースケのことは…絶対、信用してるからね」
まるで、自分に確かめるように言った。
前もこんなことを言ったな、と思いながら…。
「……助かる」
前にも聞いたわ。
「どういたしまして」
「……っと。もう少し右向いてくれる?」
「ん……ああ」
「そっちじゃない、逆」
あの時のように…指で逆を向かせた。
(そう…これが最後のチャンス)
かなめはその逆方向に顔を置き、そして…。
唇が宋介の頬に触れる。
「ちちちっ、千鳥ぃ!!?」
「ウフフ、ソースケ…アタシ…ずっと待ってた。この時を」
宋介は頭の上に「?」をしいていたがかなめは臆せず続ける。
「この先ね…テッサのお兄さんにファーストキス、奪われちゃうんだ。だから…ソースケ。
 ね、キスしよ」
宋介はかなり困惑な顔を見せる。
と、かなめは思った。
だが、
「いいだろう、俺は、愛する人にしかキスはしないからな」
宋介は微笑んでかなめと唇を合わせた。
いつの間にか…自分が泣いてるのに気づくかなめ。
その涙を手で拾ってくれた宋介。
何も言わずに…。
決して気まずい沈黙ではない。
全てが話さずとも分かり合える状況なのだ。
そう、今の二人のように。
(今の……二人?)

「!」
そんな中、かなめは目を覚ました。
「夢…か…」
そう言いながらも、唇を人差し指で押さえる。
笑顔で…そして涙目で。
「かなめぇ!飯だぁ!」
キッチンから声がする。
そう、あのむっつり顔でへの字口、ざんばら髪の…アイツが今日の朝ご飯の当番なのだ。
「はいはぁい、相良かなめ、今参りますよぅ」
袖で涙をぬぐい、自分の部屋から出て行く。
その、ベットの枕もとには長い黒髪のウェディングドレスを着た女性とむっつり顔のタキシードを着た男性のキスシーンが写真たてに収められていた。

 


あとがき

ハッキリ、終わるDBD(下)読んで、即座に打ち上げました。(しかも30分ほどで)
多分、最悪の駄作でしょうね。なんてったって宋介が<アーバレスト>を嫌ったように僕もSSを嫌っていますから(笑)

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