F-site

2014.02.20 10:32

陣代高校 緊迫の一日 by 紫瞑

その日、陣代高校生徒会室は静まっていた。

「…」
生徒会長、林水敦信はただ怜悧な佇まいで椅子に座っている。
コンコン
と、生徒会室の扉を叩く音が静かに響いた。
「入りたまえ」
その言葉に反応し、2人の生徒が入ってくる。
「失礼します」
「ただいま参りました、閣下」
時折校内から響く生徒達の声を後目に、彼等は林水の前に立った。
「御苦労。テスト前なのに呼び出してすまない」
「いえいえ。で、今回はどうしたんですか?」
「うむ…まずはこれを見て貰いたい」
そう言って林水の差しだしたのは、一通の文書だった。
「はぁ、何ですか…一体?」
以前に自殺すると言う脅迫文書があった手前、かなめは訝しげな表情でそれを受け
取った。
書面には印刷された文字でこうしたためられている。

 『唐突だが、貴校に爆発物を設置させて貰った。
 我々に目的は無い。以上だ』

「…センパイ?」
「何だね?」
「こんな物悪戯以外の何物でもないじゃないですかーっ!」
前回の脅迫文の方がまだ怖みがあった。
「私もこれが本気の文章とはなかなか考えられない」
「だったら捨てておけばいいじゃないですか」
「だが、これがテストに追い込まれた生徒の心情であったらどうする?今の時代、爆
発物を作る事など容易い。…相良君はどう思う?」
あ、一番振ってはいけない人物に…
案の定、彼はこう答えた。
「目的が無いと言うのは難しい話ですが、万が一の対処はしておくべきです」
「はぁ…言うと思ったわ」
「ただ、今日は爆発物の解体器具を家に置いてきてしまっているので…取りに戻っ
ても宜しいでしょうか?」
予想外の言動。
「ふむ…構わん。行きたまえ」
「了解しました」
そう言うと彼は踵を返し、部屋を去っていった。
「かなめくん、用件は以上だ。ご苦労だった」
「あ、はい、失礼します」
この学校で爆弾なんて…まさかね

そう思ってた矢先だったのに…

「これって…爆弾だよな」
昼休みの出来事。
校庭後ろの一角、たまたま通りかかった生徒の発見だった。
ビニールシートの下に隠されていたと言う。
口伝いに噂を聞き、駆け付けてみると、そこには大きな人集りが出来ていた。
「ちょっと、ちょっと通して!」
「あ、カナちゃん」
中には恭子もいる。
人の山を掻き分け、中心に出た。
そこには小さいサイズの段ボールほどの箱があった。
ゴクリ…
唾を飲み込んで近付いてみる。
中は、恐ろしい物だった。
不気味に張り巡らされる配線。最深部に見られる筒状の物体。
お決まりの時計(アナログ)も恐ろしさを10倍に醸し出している。
「マジ…?」
冗談では無い。こんな事が…
「どうするんだよ?」
「死んじまうのか、俺達」
あ…
「ソースケは!?」
こういう時の助け船!
「そうだよ、あいつがいれば一件落着じゃん!」
「でも…あいつさっき学校出てかなかった?」
「し、しまったっ!!」
あの馬鹿…何でこんな時だけ…
「ど、どうしようカナちゃん」
このままじゃ…
かなめの脳裏に爆発した時の光景が広がる。
悲鳴と共に炎に捲かれる生徒達。
「こうなったら、私が!」
意を決して箱の前に座り込む。
「ちょ、ちょっと千鳥さん。無理だよ~」
風間信仁が慌てふためいた口調で問い掛ける。
「やってみなくちゃ分かんないでしょ!ほら、何か持ってきてよ」
「う、うん」
こうして、彼女の死闘が始まった…

「こっちじゃないの?ほら、こっちこっち」
「違ぇーよ。こっちっぽいだろ」
汗を垂らしながら筐体を睨む。
「くそ…負けるかぁっ」
「お、すげー!当たってる」
いつの間にかギャラリー総出で取り組む始末。
その間、結構線は切れてきている。
これは、いけるかも!

数十分後
「はぁっ、はぁっ…」
残る線はついに2本。
辺りは言いしれない緊張に包まれている。
何で短時間でこんなに進めているのかを誰もが突っ込まないほどだ。
「赤か…青か…」
ドラマや映画で良く見るシーンだが、実際これほどに緊張するのか…
後ろを振り返って訊ねる。
「どっちを選べば…」
「千鳥!お前がしくじっても俺達は責めない!切るんだ」
「そうだ、千鳥!」
ギャラリーの熱の入った声援。
かなめの耳には熱く響いた。
「みんな…ありがとう!」
そう言うと彼女は再び向き直りも爆弾を睨んだ。
「お前にはこの力の源が分かるまい!ここからいなくなれー!!」
言いながら配線にハサミを向ける。
その時…
「みんな…何をしているんだ?」
場違いに落ち着いた声。
ギャラリーの視線は一斉にそちらに向けられた。
「そ、ソースケ!?」
何やら怪しげな機材を担いだ生徒、相良がそこにいた。
「思ったより手間取ってしまった。警官に職務質問されてしまってな。撒くのに苦労
した。で、爆弾が見付かったのか?」
ギャラリーが道を譲り、彼は一歩一歩近付いてきた。
ああ、奴なら一発で解決してくれるだろう。
「見せてみろ」
かなめも場所を譲り、相良は爆弾を確認した。
「…!!」
「どうしたの?ソースケ」
「これは…俺の持ってきた新兵訓練用の模擬爆弾だ」
「はぁっ!?」
「家に置き場所がなくてな。学校で解体してゴミに出そうと思ったんだが、会長閣下
からの呼び出しのせいで忘れていた…」
「…」
「下手に近所の人々に感づかれていたらもっと大きな騒ぎになっていただろう。か
なめ、感謝する」
「ソースケ…」
ぷるぷると震えるこめかみを抑えて声を絞り出す。
「何だ?」
「この、ろくでなしいぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
ハリセンでの一撃。衝撃で彼は地面に叩き付けられる。
続いて他の生徒からの容赦ない攻撃。
彼は、途中で意識を無くした。

「で、結局爆弾は無かったという事か…」
「そうです。この戦争バカの仕業でしたよ」
生徒会室に再び呼び出されたかなめと宗介だった。
「そうか…それで相良君は傷だらけなのか」
「はは、そう言う事です。じゃ、これでOKですね」
やっと解放されると思い、彼女は声を弾ませた。
「そうなのだが…この脅迫文は、まだ未解決の様なのだ」
彼はまたしてもあの文書を見せた。
「誰かの悪戯ですよ。タイミング悪かっただけで」
軽く笑い飛ばす。
「ふむ、だが先程こんな物を校内で拾ったのだ」
言うと、彼は机の下から重そうな箱を取り出した。
「え゛!?」
「一応警察には連絡しておいた」
「ででで、でも、これが本物だとは」
「主流の形式だな。偽物と比べて作りが精巧すぎる。テロなどでも良く使用されてい

タイプと見て間違いない。100%本物だ」
横から宗介が覗き込む。
かなめは蒼白となった。
「大丈夫だ。時間が来なければ爆発の危険はない。警察を待とう」
「千鳥くん。いま爆発する危険は無いそうだ。私も安心したよ」
それからの時間、かなめにとっては最凶に地獄だった事は言うまでもない。


あとがき

あぁ、完全なる駄作です。終わりが意味分からなすぎですね。すみません。
次からはもっとまとまった物を書きたいです!謝

web拍手 by FC2


←back

This site is owned by Sarira as F-site - 2025 Designed by Shiro