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2014.02.20 10:34

たった一人の可愛い猫と… by 佐々木

熱くてたまらなくなるような昼。

蝉の声が当たりを包み込み、人々は逃げられない暑さから逃げるように早足で歩く。

そんな人々を見ていた一人の女性はこう思った。

『くそ暑い中ご苦労ね~。でも・・・あいつもこのぐらい急いでくれたらね・・・』

その女性は今、炎天下の中日陰にあるベンチに腰を掛け待ち合わせ場所の噴水を、ぼ~、と眺めていた。

眺めている間にも忙しき人々はドンドン現れ消えていく。

消えていく中にも現れる中にも目的の人は居ない。

待ち合わせは1時だった。

今、2時5分。

かれこれ2時間5分18秒も待っている。

『まぁ12時に来ちゃった私も悪いんだけどね~・・・でも、1時間の遅刻はやりすぎよ!絶対お仕置きね』

そう、思いながら自分の黒髪をかき上げる。

ショートヘヤーの流れるような髪、猫のような大きな瞳。

彼女、メリッサ・マオは一人の男を待っていた。

その男の名前は・・・・・・

「いやぁ~悪い!姐さん。道歩いてたら3人組の女の子に捕まっちゃってさ~。まいったよ、ほんと」

男は両手を合わせて一応申し訳なさそうに近づいてきた。

クルツ・ウェーバー。

彼の名前だ。

金髪にモデル顔負けの整った顔立ち、黙っていればかなりの美男子だがいかせん口が悪い。

TDDのSRTでもあり、そして何より、マオの・・・

「遅すぎよ。夕飯はクルツのおごりね」

マオは不機嫌そうな顔をしながらも内心は嬉しくてたまらなかった。

なんせ1年ぶりのデート。

告白されてからは仕事が忙しすぎて話さえ出来なかった。

それが先日東京に行くついでにデートしないかと誘われたのだ。

「え~マジ!?俺今月ピンチなのに・・・」

クルツはまずそうな顔をしながら財布を取りだし中を確認し始めた。

マオはそれを嬉しそうに見ている。

クルツと居ると自分の顔が緩むのが分かる。

やっぱり自分はクルツが好きなのだ。

逢ったばかりはただのスケベかと思っていたが・・・

クルツから告白してきたときはほんとに驚いた。

あの時のことはまだ良く覚えてる。

雨が上がったばっかで虹が出ていた。

『姐さん。ちょっといいかな?』

『いや、変な事じゃないって』

『大事な・・・事なんだ・・・』

『ここら辺でいいかな』

『・・・・・・・・』

『さ、最近どうよ?』

『え、いや・・・・その・・・』

『あ~つまりだな・・・・』

『いや、そうじゃなくって』

『それも違う』

『そうじゃないって』

『はははは、全然違うぜ』

『あ~近いかもしれない』

『さ~どうかな~』

『あ、いやごめん!今のなし、なし』

『・・・・・』

『・・・・・よっし』

『あのな、姐さん・・・いや、マオ―――――』

――姐さん、姐さん。もう、しゃぁない――

チュッ

「きゃっ!なにすんのよ!!」

いきなりクルツがボ~としているマオの頬にキスをした。

マオは顔を真っ赤にしてクルツを殴り飛ばす。

奇麗に円を描きながら吹っ飛ばされるクルツ。

赤い顔をしながらそれでもどこか嬉しそうなマオ。

もう見慣れた光景だった。

「いって~。姐さんもっと手加減してくれよ~」

腰をさすりながらクルツは痛そうに立ち上がる。

アレだけ吹き飛ばされたのにもう復活とは流石だ。

と、そこでクルツは気づいた。

マオがクルツを殴ったポーズのまま下を向いて固まっている。

「姐さん・・・・?」

クルツは心配そうな顔をしながらマオに近づいていく。

「大丈・・・・・・ふぶっっ!!!」

またも不意打ち。

今度はみぞおちにクリティカルヒットする。

今度も奇麗に円を描きながら堕ちていく。

「あっあはははははははははは」

急にマオがおなかを抱えて笑い出した。

とても楽しそうに。

「いてててて、死ぬかと思ったぜ~もう」

クルツは声とは裏腹にピンピンしている。

やはり、もう慣れたらしい。

「遅れた罰よ!今度からは遅れないように、解った?」

「解りました」

そう言ってクルツはわざとらしく一礼する。

「それともう一つ」

「まだあんの!?」

「遅れたのが文句言わない!!」

「はい・・・」

マオに叱咤されてシュンと身をしぼめるクルツ。

それを見て少しマオが微笑んだ。

「もう一つはね~」

マオは悪戯っぽく笑いながらクルツの顔を近づける。

――今日一日マオって呼ぶこと――

――それと告白したときの最後の台詞、もう一回――

――それって二つじゃん――

 

――ふふっ気にしない――

――早く、ね――

――・・・・・・・・・もう一回だけな・・・――

 

――うん――

『俺は大切な人に渡せる言葉はこのくらいしか思い浮かばなかった』

『ちゃんと聞いてほしい』

『マオ・・・・・好きだ』

『・・・・・・あ、いや、え~返事は?』

『それだけって・・・・それしか浮かばなくてよ・・・・・・』

『・・・・・あ~好きだ!!』

 

――チュッ

――好きだ――

「じゃ今日はどこ行く?」

「そうだな・・・遊園地!デートと言えばそこだろう」

「よしっ行くわよ。もちろん入園料はおごりね」

「え~今月きついっての~って、待てよマオ!」

「早く~!!」

 

「今日はデートなんだから!」

 


あとがき

こんにちは佐々木です。さりらさんのHPに初投稿です。こんなんですみません・・・・・この程度書くのに1週間も掛かってしまったです。
まだまだ修行不足ですね。はぁ・・・。マオ×クルツ、ネタです。そーかな、そーてっさはよく見るけどマオクルはなかなか見ないので描きました。
これからもこういうなかなかお目にかかれない組み合わせを描いていきたいと思います。(椿×瑞穂とか林×蓮とか、邪道でそーマオなんかも描いてみたいな~なんて)ていうか短っ!内容もっと頑張ります、次のは。
それでは。
PS、読んでくれた人ありがとうございます!!(遅っ!

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