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2014.02.20 10:42

宗介復讐計画 第3話 by ドイワー

穏やかな風が窓越しに流れ込む教室の一角に彼女、稲葉瑞樹は立っていた。小柄ながらもしっかりとした意思を持つ瞳。
そしてその心中は唯一つ、『相良を倒す』と言う一心に燃え、そして考えていた。
(おのれ・・・すぐにでも倒しに行きたいがあんなのに勝てるわけがない・・・たしか阿久津は大人数でも負けたし
、とは言え私は風間みたいな尾行術は身につけてないし・・・)
ちなみに補足しておくが阿久津は戦わずして負けている。負けていると言うよりも戦闘放棄というべきか。
(むむ・・・ダメ・・思いつかない・・・)
瑞樹の思考回路も限界に達してきてパンクしそうになった頃、何所からともなく神の声が訪れた!
「ねぇねぇ、もうすぐ期末テストだけどカナちゃん大丈夫?」
(あーそういえばそう言えばもうすぐだったわね、期末テスト)
「私は大丈夫だけど・・・宗介の日本史がねぇ・・」
(ん?)
「あー、やっぱりカナちゃん相良君の事が・・」
「ななな、何言ってんのぉ!!」
(ううむ・・)
いつもならば聞き流してしまう瑞樹だが、『宗介の日本史が・・・』と言う言葉が耳に引っかかった。
(・・・まさかアイツ日本史が苦手とか・・?と言う事は・・・これは・・・使える!)
そう考え込むと瑞樹はいそいそと何処へと消えていった。

その翌日、期末テスト、場所は相良宗介の席。額に汗を浮かべ凄まじい形相で問題用紙の文章を凝視する男がいた。
(全く分からん・・・いつもよりも約30%程増している所か・・・)
ボキ!
力を入れすぎたせいか宗介が握っていた鉛筆が真っ二つに砕けた。
(む・・・いかん・・)
そこで無情にも時間は切れた。
「はーいみんなぁ~終わりですー。筆記用具から手を離してねー」
(終わった・・・なにもかも・・・)
宗介はまるで手持ちの残弾が0の中で敵軍団のど真ん中にいるような錯覚を覚えた。
(しかし・・・なぜこのような難解を会長閣下は出来るのだろうか・・・やはり質が違うのか?)
への字の口のまま両腕を握りこぶしにしながらそんなことを考えていた所に声をかけられた。
「ソースケ、さっきのテスト、どうだった?大体予想はつくけど」
「おそらく君の考えは正しい」
「つまり完全敗北と?」
「肯定だ」
このような会話のやりとりを影から見ている女子生徒がいた。そう、稲葉瑞樹である。
(フフフ・・・いい気味だわ相良宗介。やっぱりアレが効いたのね)
稲葉の言うアレとは?場所は変わり数日前の校長室。
「なんですか?校長」
鋭い目つきに白の制服、陣代高校の生徒会長でもある林水敦信はそう言った。
「いえね、こう言うものがファックスで届いたものだから・・・」
そういうと校長は一枚の紙を差し出した。
「どれ・・・む・・これは・・・」
『校長先生及び他の先生へ 前々から思っていたことですが最近学生の学力低下が問題になっていることはお気づきだと思います。
よって私は後日に控える期末テストの難易度増量、特に日本史の向上を望みます。どうかご検討下さい』
「林水君、君の意見も聞きたいのですが・・」
「匿名のためたちの悪い悪戯かもしれませんが・・・私もテストの難易度には少々不満があるところでして。やってみても支障はないと思いますよ」
「まぁ一回くらいはやってみますか。では職員会議を開く事にしましょう。林水君、ご苦労様でした」
「いやいや」
そういうと両者共に別々のドアから校長室から出て行った。
(しかし一体誰がこんな事を・・?)
その日、林水は少々怪訝な顔をしたまま一日を過ごした。

そしてテストが実地されたその日の昼。難易度が高めだったテストを受け一般生徒皆苦悩の表情を浮かべたまま昼食を取っていた。
「あー・・・」
「あぁ・・・」
「・・・・・」
無論相良宗介もその部類に入る。その横でクリームパンを銜えている千鳥かなめが声をかけた。
「はぁ・・・まぁそうくよくよなさるな。深く考える事は体に悪いわよ?」
「いや、そうではなく・・・今日のは少々難しすぎる気が・・・」
「うぅん・・・まぁそんな気もしたけど・・・まぁたまにはこう言うこともあるでしょ」
その後、宗介は今日一日ずっと暗いムードのままだった。そしてその日の昼休み、宗介とかなめは放送で生徒会室に呼び出された。
「二人とも、昼休みだというのにすまないね」
「いえ、とんでもありません、会長閣下」
(アタシは結構困ってるんだけど・・)
「用件というのはコレの事だ。読んでみてくれたまえ」
そういうと林水はポケットから紙切れを宗介達の前に差し出した。
「?会長閣下これは・・・」
「えーと、なになに・・・ふむふむ・・ん!?んん!?なんじゃこりゃぁぁ!!」
「会長閣下、これは・・!」
「つい先日送られてきたものだ。内容どおりにしても支障はないと判断したのだが、どうだったかな?」
「問題大有りです!」
「相良君は?」
「肯定です」
一同は喋りたい事を喋りきったのか場には静寂が訪れた。生徒会室に満ち渡る緊張の雰囲気、それを砕いたのは意外な人物であった。
「あのぉ・・・ちょっとよろしいでしょうか・・・?」
「なんだね?美樹原君」
「そのぉ・・・この紙のことですが・・・」
「なにか心当たりがあるの!?美樹原さん!」
「いえ、その・・」
「美樹原君、言いたい事ははっきりと言いたまえ」
「あ、・・・はい。では・・その紙なんですが・・・下に書いてあるのは送信元の住所ではないでしょうか・・?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
三者同様の反応を見せまたも沈黙が訪れる。最初に口を開いたのは林水だった。
「なるほど・・・コレはとんだ落とし穴だ」
「肯定です」
「いやいやいや!今の今までこんな単純な事に誰も気がつかなかったんですか!?」
「そう。今の今まで君を含めた皆がこんなにも単純な事に気づかなかったのだ」
「ぐ・・・」
「まぁとにかくこれは重大な証拠品だ。生徒会が検査をした後割り出した場所に言ってみる事にしよう。ではもう結構だ。下がってくれたまえ。」
「はっ。了解しました」
「ふぇあぁ~い・・・」
宗介は丁寧にも背筋をぴん!と伸ばし敬礼までして部屋を出た。対してかなめは肩を落としため息をつきながらとぼとぼと部屋を出て行った。

その翌日。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
テストが返されその点数を見た稲葉瑞樹は絶叫していた。
「そそそそ、そんなぁぁぁ!!きゃああああ!」
絶叫しながらも何度も自らの答案用紙に書かれた点数、「21」を見る。しかし当然ながらその点数は上がらない。
「そんな・・・相良に復讐するつもりが・・・なんでこんな事に・・・!!」
瑞樹はヘナヘナとその場に座り込んだ。
「せっかく相良の筆記用具すべてにヒビを入れてたのに・・・これが報いって訳!?」
稲葉はそう言うと答案用紙をびりびりに千切った。

そしてココは生徒会室。
「美樹原君、昨日の紙の結果は出たかね?」
「ええ。どうやら小野寺という人の家らしいです」
「ふむ・・・そうか。それが分かればいい。ご苦労だった」
「それにしても・・・皆さん結構難しいといっていますが・・・大げさですね」
「それは君が特殊だからそう感じるのだよ」
机の上には美樹原、林水の答案用紙が置いてありどちらも1の横に0が二つ付いていた。

さらにココは校舎の裏側。
「オノD、あの悪戯はマズイんじゃ・・・」
「気にすんな!初めてファックス使うときはアレくらいやらねぇとな!」
風間と小野寺、以下の二人であった。
「それにしても僕らの点数・・・」
「気にすんな!」
オノDはそう言うと共に風間の頭に鉄拳をぶつけた。彼らの足元には答案用紙がありそこにはおおきく0のみが書かれていた。

そんでもってココは例の部屋。
「そうか・・・失敗したか・・・」
やけに破棄のない声で№2が言う。
「うう・・・面目ない」
同じくらいは気のない声で稲葉が答える。
「どうした、№2お前らしくもない・・」
めずらしく№1が口を開く
「いえ・・・今日のテストで少々・・・」
「そうか」
「と、とにかく稲葉瑞樹、ご苦労だった。ココでの事は決して喋るなよ」
「わ、わかってるわよ・・・じゃあね。後は任せるわ・・・」
稲葉は力ない歩き方で部屋を出て行った。
「いよいよ俺まで来たか・・・」
「№2、今こそその仮面を外すがいい」
「言われなくても分かってる。相良・・・貴様をこの№2が・・いや、」
そして№2が、ばっ!と仮面とマスクを空中に放った。
「この椿一成が地獄に送ってやるぜ!!!俺の新しい奥義、千手阿修羅斬でな!!」
そういうと先ほどまでの落ち込み具合は何所へ行ったのか、闘志120%な勢いで部屋を出て行った。

  つづく


あとがき

テストとか学力とか。キャラ達をいまだに完璧に把握していない自分は自分の偏見でそれぞれ点数をつけさせてもらったのでそれぞれのファンの方文句とか言わないでくださいね(汗 そして稲葉の悪戯がショボイとかも無しで・・・次回椿君登場、そして№1の正体は!?そして残り二人であと4回どうやるのか!?・・・まぁ待っててください(激汗

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