宗介復讐計画 第9話 by ドイワー
「それではルール確認をします。初期配置は外野1人、内野5人。外野が2人以上の場合の時に外野が相手チームの内野を倒したときにはその外野が内野に戻れます。内野と外野のチェンジは無し。首から上に当たった場合はセーフ、当たってもワンバウンドする前に誰かがキャッチすればセーフ。内野選手はボールを持ちながらラインを超えても空中ならばセーフ、ラインを超え地面に足がつくと外野ボールとなります。尚、ボールは投げた場合のみ適用され、蹴ったりした場合は相手ボールになります」
審判役の美樹原が両チームに告げた。
「ようは普通のルールと変わらんのだろう」
「まぁ・・・そうなりますね」
「まぁいいじゃん。変なルールがあるよりは単純だし」
「そうよ。私としても簡単なほうがいいしね」
ヨシキとかなめが同意する。他の皆も納得している様子だった。
「では、3分後に始めますので外野の選手の用意を・・・?どうしましたボン太君?」
「えっ?」
美樹原が言うとかなめが振り向いた。そこには手を上げているボン太君がいた。
「ふもふもふもふもふもふもふっもふっふっふ?(地雷などのサポート的な要素はないのか?)」
かなめがハリセンを振り下ろす。
(痛いじゃないか)
(あんたはルール教えたでしょ!?)
「あの・・・かなめさん、よろしいでしょうか?」
不思議そうな表情でかなめに美樹原は尋ねる。
「あ、ああ。OKです」
「では大貫さんは?」
「問題ない」
「では、3分後始めますので外野を決めておいてください。では」
美樹原はそういい一礼するとテントの方へと歩いていった。
こちらはザ・リベンジャーズ。大貫が中心となって話を進めていた。
「では誰が外野に行くかじゃが・・・多数決などはどうじゃ?」
その提案をしたのは大貫だった。皆も首を縦に振った。
「では行くべき人間を指差してくれ。いくぞ。せーの・・・ぴし!」
大貫が合図をすると皆いっせいに指を指した。風間はヨシキを指し他の人物は皆風間を指していた。
「決定じゃな」
「まさに成るべくして成る、といったところか」
大貫と椿が感心したように言う。風間はがくっと肩を落とした。
一方こちらはクラスの皆と+1。こちらは大貫側よりもさらっと決まっていた。なぜなら希望者がいたのである。
「あたし外野が良い~外野なら当てられないし~」
そういったのはおさげで眼鏡の常盤だった。かなめもそのほうが良いと後押ししたものもあってすぱっと決まった。しいて問題があったと言えば宗介が最後まで「前後のコンビネーションは大切だ。もっと戦力になる人物を送ったほうが良い」と言っていた所か。
そして3分後。両チーム内野外野に別れコート内にいた。
「え~、それでは始めますね。所期ボールはジャンケンで決めます。両チーム代表者を」
「じゃ、あたし行ってくるね」
皆と+1はかなめが代表に出て行った。
「では、俺が行こう」
一方リベンジャーズは椿が代表として出て行った。
「じゃ、いくよ。さーいしょーはグー」
「ジャンケン・・・」
「ぽい!」
かなめチョキ 椿グー
「負けた・・・しかも前と同じに・・・」
「その・・スマン・・」
負けたかなめはモチロンなぜか勝った椿まで申し訳なさそうな顔をしていた。とりあえず勝者である椿に美樹原がボールを手渡した。
「それでは・・はじめ~!」
美樹原が首にかけている笛を思いっきり吹いた。校庭に高い音が響く。それとほぼ同時に椿がボールを投げていた。
「まずは貴様だぁ!相良ぁ!!」
ボールはボン太君目掛けてまっすぐに飛んでいった。ちなみに椿の声は皆と+1には届いていない。
「ふもっ!」
ボン太君はそれを難なく受け止める。そしてそれを投げ返す。目標はヨシキだ。
「おわっ・・・と・・へへっやってくれるね相良さん・・・じゃ、俺も本気で行くぜ!」
ヨシキはさらにボールを投げ返す。今度の目標は若菜らしい。しかもボールの弾道は低く、とてもとるのが難しいボールだった。
「お・・おわっ・・・と。ああいうボールはよけるのが一番よね」
若菜はその場でひょいっとジャンプをしてボールをやり過ごした。
「わお~若菜さんすごい~あたしも頑張らなきゃ・・どわっ!?」
若菜を横目でなにやら尊敬のまなざしで見つめていた恵里が突然うつ伏せの形で倒れこんだ。
「神楽坂先生!?」
かなめははっとした表情で振り返る。失念していた。このドッチボールはなにも敵は前だけではない。後ろにもいるのだ。外野という名の人物が。
「あ~やられちゃった・・・かなめさ~ん・・・パスパス~」
恵里は名残惜しそうに外野へと走っていった。
「わかりました。はいっと」
「ちょっと!かなめ!それってありなの!?」
「え?」
思わず瑞樹が抗議した。かなめは恵里がパスの要求をするとコートの端っこまで行き手渡しで外野の恵里にボールを渡していたからだ。
「いや・・あれは高等テクニックの『リアルパス』・・・奇襲率は低くなるものの安全性100%ともいえる技の一つだよ」
「へ~・・っていうかその名前いま考えたでしょ?」
「え?あ、やっぱ分かる?あはは・・おっと!危ない危な・・うわっ!?」
ヨシキと瑞樹が会話をしていると突然ボールが襲った。放ったのは恵里だった。そしてそれをよけるとその裏にいた恭子がさらに投げ返す。
「どうよ!!外野が二人以上のときのみ発動可能の『横パス』の威力は!?外野どおしで投げあうからよけるのがつらいしコートは横のほうが短いから効果覿面なの・・・よ!!」
「痛ぁ!!」
誇らしげに恵里が解説している中、ついに瑞樹が恵里のボールに当たってしまった。
「よっしゃ!やった内野~」
「痛い~・・くそ~・・」
瑞樹は恨めしげに、恵里は嬉しそうにそれぞれ内野、外野へと向かっていった。しかしその時恵里は油断していた。
「おお!?神楽チャン危ない!!」
「どうしたの小野寺く・・きゃあ!」
なんと恵里が入った途端ボールが恵里の体に当たった。投げたのは椿一成だった。
「外野が内野へ戻る時、そこが最も隙の多い部分・・・そうだな?ヨシキ」
「そういうことだよ一成さん」
椿とヨシキが横並びで立っていた。なんだかんだで結構良いコンビだった。恵里はとぼとぼ外野へと向かっていった。
「さてと・・・アイツはなかなかやるらしいな・・・ならばまず他のを減らすか・・・若菜とかいった婦警、千鳥は女・・・俺は女子供を傷つけることは出来ん・・・ならば・・・」
「ぎくっ!!」
椿の目はオノDを捕らえていた。しかもその時オノDは目を合わせてしまった。
「死ね!」
「どわああ!!」
椿の投げたボールがオノD一直線に向かってきた。ちなみにオノDは決して運動神経が悪いほうではない。椿が異常すぎるほどに高いのだ。
「ああ・・あ・・ひぃ!!」
「何!?」
椿が思わず苦い顔をする。オノDは当たる瞬間に頭を抱えるようにしてその場にしゃがみこんだのだった。実は結構この回避方法は回避率が高かったりする。その後背後からの瑞樹の一撃にも同じ方法でオノDはよけた。ボールは再び椿の手に戻った。
「あのよけ方・・厄介だな・・ヨシキ。何か策はないか?」
椿はボールをバウンドさせながらヨシキに問う。ヨシキは考えながらも答えた。
「あのよけ方は『土下座回避方』・・・俺の学校でもやる奴いるけど・・・まさか高校生でやる人がいるとは・・・」
「なんとかならないのか?」
「多分この方法でいいと思う。えっとね・・ごにょごにょ・・」
ヨシキは椿に何かを耳打ちした。
「なるほど・・・よし、行くぞ小野寺!!」
「お、おわぁ!!」
椿は思いっきり手を後ろに回し全力でボールを放った。そしてオノDはその場にしゃがみこみボールはオノDの頭上を・・・越えなかった。
「オノDなにやってんの!?」
おもわずかなめが叫ぶ。オノDは椿のほうに目をやると思わず目を見張った。椿は投げる瞬間左手を前に出しその場でボールを受け止めていた。
「なるほど・・・さすがだな、ヨシキ。お前のいうとおり・・・だ!!」
椿はそういうと今度こそ本当に投げた。しゃがみこんでいるオノDによけるすべはない。背中にクリーンヒット。なにやら鞭でサンドバックを叩き付けた様な音が鳴った。しかしオノDは腰を摩りながらなんとか外野へと向かっていった。
「ねぇねぇかなめちゃん。なんかすんごい人数減ってきたけど大丈夫?」
「だ、大丈夫・・・だと思う」
若菜がたずねるとあいまいな返事でかなめは答えた。実際流れは完璧にリベンジャーズに傾いていた。
「とりあえず・・・椿君をなんとかしないと・・・」
「でもさ、下手に倒したりすると外野に来るからまずいんじゃない?」
「あ・・そっか」
考えれば考えるほど沼にはまる。ちなみにそんな事を考えている中ボン太君は椿のボールをなんとか受け止めていた。
「あ、ソー・・ボン太君ナイス。さて・・・誰を狙うか・・・」
この時かなめの中でウィスパードの力が発揮されたような気がした。かなめはそれぞれのデータを探り始める。
「椿一成・・・防御力が高いし外野へ行くとこちらが不利になる可能性あり・・・パス。阿久津芳樹・・・小学生だし小柄なうえ宗介のボールを受け止める力があるのでカウンターを喰らう可能性あり・・・パス。大貫善治・・・以前怪しい雰囲気をまとっていたので・・・パス。となると・・・」
かなめは一人の相手選手を見つめる。そう、阿久津万里。
「な・・・私・・私なの!?」
「YES.GO TO HELL」
いつの間にか言語が英語になっていたかなめがそう告げた。それを聞くとボン太君は万里に向かってボールを投げはなった。
「危ない、お姉ちゃん!」
「え・・ヨシキ!?」
ボールが放たれた瞬間、ヨシキが万里の前に立ちふさがった!
「よ、ヨシキ・・・」
「姉ちゃんは・・・僕が・・・」
ゴオオオオ・・と砂埃を巻き上げながら近づいてきた!(多少過剰表現有)
「・・・やっぱ嫌」
ヨシキはそう告げ横にひょいっとそれた。
「ヨシキィィィィィィ!?」
ヨシキが受け止めると信じていた万里は全くの無防備だった。しかしそこから信じられない動きをする。
「あ、あぁ・・!?だ、大導脈流奥義・・・血栓掌!!」
万里は飛んできたボールに向かって奥義を放った。その瞬間ボールが破れ弾け飛んだ。
「・・・」
「・・・」
思わず周りのものが口を開け絶句する。そして当の本人の万里も。
「・・・あ・・」
「えぇ・・・と・・とりあえず、アウトですよ」
「やっぱ・・・だよね」
若干の間の後に美樹原がそう告げた。万里はとぼとぼ外野へと向かっていった。とりあえずボールは新しいものにして+1ボールでリスタートとなった。
「これで3対3・・・五分五分・・!絶対勝つわよ!!」
かなめがボールを頭上高く上げそう叫んだ。その姿は太陽の光が差し込んでいてよりいっそう眩しく見えた。両チーム、残り3人!
・・・いや、続いちゃいます。
あとがき
めちゃくちゃだ・・・(汗)最近ドッチボールやってないし・・ほとんど喋ってない奴と喋ってる奴に別れてるし・・・とりあえず中盤までこれました。もうすぐ完結です。絶対に。今度こそ。
最後に誰かがこれで楽しめますように・・記しまする。