真夏のおもひで? 第1話 byグロ
夏休み、白い雲、真っ青な空、揺らめく陽炎そんな暑い真夏の昼下がり、あまりの暑さにせみの鳴き声ももまばらな道を、二人の男女が歩いていた。
「もう!なんて暑い日なのかしら!」
そんな事を言いつつ千鳥かなめは半ばふらつきながら歩いていた。
「確かにこれには参ってしまうな。しかし俺のいたベトナムではこのようなことな日常茶飯事だっ…」
すぱぁぁん。
かなめのはりせんが炸裂し、宗介は熱い地面の上に叩き付けられた。
「なかなか痛いぞ。」
「うるさい!こんなくそ暑い時にさらに暑くなるようなことをぬかすな!」
「むう…」
「そもそも何でこんな暑い時にこんな事しなくちゃならないのかしら…」
ことの始まりは八月の初めにあった出校日の時の事だった。
「冬季会議ですか……」
「そのとおりだ千鳥君。」
帰っていく生徒たちの声の声が聞こえてくる生徒会室で千鳥は半ば呆れたように答えた。
「今度の冬休みに多自連で一泊二日の討議会を行うことになった。そして、不運にも会議場の近くにある宿泊予定場所を調べて、その書類を提出しなければならなくなってしまった。そこで……」
その時、林水の目線が千鳥へと向けられた。それにきずいた千鳥は、
「私はいやですよ、そんな面倒くさいこと。」
断固拒否。しかし林水は軽く流して話を続けた。
「確かにそうかもしれないが、もう場所は私がリストアップしておいた。後は君がそこに訪ねて下見をしてこればいいのだ。」
「嫌ですよ!目的地遠いし、旅費ないし、しかも乙女一人で旅行なんて嫌に決まってるじゃないですか!」
「その事については問題ない。下見といっても旅行同然。旅費は学校負担でいく。その事ついては先生方も了解済みだ。そして千鳥君一人では危険なので、護衛役として生徒会長補佐官の相良君を使うことにした。生徒会で二人分の旅費は出そう。もしも、君一人で行くと言うなら何かあっても責任は取れないよ。」
「は?」
「そういうことだ千鳥。君の安全は保障するぞ。」
今まで千鳥の後ろで静かにしていた宗介が答えた。
つまり林水は「千鳥君がよければ相良君と二人っきりで旅行に行ってもいい。」と言っているのだ。
「だ、だけど他に頼める人はいなっかたんですか?」
千鳥はあわてて答えた。
「それが他の役員にもあたってみたのだがみんな予定があるそうだ。もしも君がだめだったとした場合、相良君に行ってもらおうと思っている。相良君も了解済みだ。」
「うっ……」
それはそれで困ったことになる。宗助のことだ、問題行動して騒ぎになるのは目に見えている。
「だけどやっぱり……」
「何だ千鳥、そんなに断るなんて、俺と行くのは嫌か?」
宗助が後ろから少し残念そうにたずねてくる。
別に嫌なわけではないのだが、やはり二人で行くのは気が引けた。しかし、結局は旅行なのだ、二人っきりだが別にいいだろう。
「う~ん。」
しばらく考えた後
「じゃあ、行きますよ、し・た・み」
「うむ。君ならそう言ってくれると思っていたよ。それでは詳しい日時の説明から…」
そんなわけで今暑い道を宗介と歩いているのだ。
「やっぱり、宗介一人で行かせればよかったかしら。」
宗助に聞こえない程度でぼやいた。
「? どうした千鳥。」
「なんでもないわよ。」
そんな会話をしているうちに目的地の旅館が見えてきた。
「ああ、あそこよあそこ。」
「うむ、そのようだ。」
少しして、千鳥達は旅館の真ん前についた。旅館は歴史を感じさせ”にっぽん~”という雰囲気をぷんぷん漂わせていた。名前は双山館。後ろに小さな山が二つあるからこの名が付いたそうだ。
「ここかー、かなり古いわねー。いつ建てられたのかしら」
「かなり古い建物だな。トラップは…無いようだ。」
二人はそれぞれの感想を述べながら中へと入っていった。
中に入るとまず女将さんが一人出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。」
と、深くお辞儀をし、千鳥達もそれにつられてお辞儀をする。しかし、宗介だけは自分の銃に手をかけて警戒していたが、千鳥が後ろからつついてやめさせた。
「用件は聞いております。いつ話し合うかは後ほど、お部屋のお電話でお伝えしますが、よろしいでしょうか?」
非常に丁寧な言葉使いだった。
「はい、よろしいです。」
女将につられて自分までも丁寧な言葉使いになってしまった。
そんなやりとりを女将と千鳥がしている間に、宗介は心の中でいろんなことを確認していた。「ロビーに問題はなし、カウンターにいる女性に怪しい動きはなく、銃器や爆発物はおそらく不所持、問題なし。ほかの従業員も安全だ。避難経路は…よしっ!他には……」最初からこんな調子である。
宗介が一人であれこれ確認している間に、千鳥達はほとんどの話が終了したらしく。
「それではそういうことでよろしいでしょうか?」
「はい、そういうことでよろしくお願いします。詳しい説明はまた後で。」
「はい、それではお部屋の鍵を取ってまいりますので少しお待ちください。」
そういって立ち上がってカウンターの方へ小走り気味に走っていった。その間に宗介が千鳥に話しかけた。
「この旅館は安全だ。安心して過ごしていいぞ。俺が保障しよう。」
「またあんたはそんな事を…ただの旅館が危ない分けないでしょ!」
「しかし、この旅館は何かあると…」
そこまで言いかけたところで
「それでは千鳥様、相良様お部屋へ案内いたします。」
女将の声が聞こえた。宗介の声に耳を傾けていた千鳥は、急な声に驚き、
「あっ、はい、よろしくお願いします。」
と、慌てて答えた。その急な女将の声に、宗介に話しかけられていた事を千鳥は忘れてしまった。そしてそそくさと二人は女将について行った。
その時、空は晴れ渡っていた。しかし、山の方から少しずつ真っ黒な暗雲が空を埋め始めていた。そう、これからの悲劇を物語るように………
つづく
あとがき
どうも、初めまして”グロ”です。どうも。生まれて初めて小説書いてみました。まあ、へたくそかもしれませんがどうか宜しくお願いします。それでは次をお楽しみに!