真夏のおもひで? 第4話 byグロ
「で、テッサがいきなり来てしまう事になってしまったから助けてほしい、と……」
「……その通りだ。」
まだ千鳥の攻撃のダメージが残る中で宗介はテッサが来る理由を何とか話し終えた。
千鳥は少し考えたあと、
「わかりました。”相良軍曹殿”。協力すりゃーいいんでしょ。」
わざと上官に接するように(本人は嫌味のつもり……)で宗介に”応答”した。
「うむ、そうか。君ならそう言ってくれると信じていた。ではこれから行う”テッサごまかし作戦”の内容を伝えたいと思う。ちなみに作戦中のコードネームはエンジェルだ。」
「なんか、軍の作戦会議みたいだし、名前もなんか……」
「気にするな。ミスリルでのコードネームだ、問題ない。それでは説明を始める。心して聞いてくれ。」
「りょーかい、軍曹殿。」
そして宗介は説明を始めた……
―――1829時(双山荘への道)―――
「ふんふん♪」
テッサは鼻歌を歌いながら双山荘への道を歩いていた(ちなみにテッサが口ずさんでいるのはどこかの軍の軍歌だったりする……)。
(あ、あそこだわ)
テッサは走って双山荘に向かっていった……
―――同時刻(双山荘玄関にて―――)
「来たな……」
宗介はドアの影そしてフロントから死角のところでテッサを”監視”していた。なぜかスコープも使っていて完全装備だったりする。
(よし、そろそろだな……)
テッサがあと旅館まで500ヤードほど来たところで、宗介はトランシーバーの連絡ボタンを押した。
ぴっ、ざざっ
「こちらウルズ7、エンジェル。応答願います。」
ぴー、ざざっ
「はーい、こちらエンジェル。いつでもOKよ。」
ぴっ、ざざざっ
「了解。ただいまより作戦を決行する。あと気を引き締めろ。」
ぴ、ぴー、ざざっ
「はいはい。ホントにうまくいくの?この宗介らしい無茶苦茶な作戦。」
ぴー、ざっ
「ああ君とならきっとうまくいく。」
「いや、そういう事じゃ……」
ぴっ、ががが……ぷちっ
通信は途切れた。
―――1830時(双山荘前)―――
「あ、相良さ~ん」
「お待ちしておりました。大佐殿。」
宗介はいつも通り対応した。
「もう、相良さん。プライベートだから大佐殿じゃなくてテッサでいいですよ。」
「では、”テッサ殿”こちらへどうぞ。」
「はい。宜しくお願いします。」
宗介達は中へ入っていった……
―――同時刻(双山荘内二階のロビーにて)―――
「ふふふ、来たようね。」
入ってきたテッサを見て千鳥は不吉な笑いを浮かべた。
「宗介との恋路の邪魔をするつもりはないけど私も宗介の事やっぱりす…だから……」
そうつぶやいていると、あとから入ってきた宗介が身振りでサインを送っている。作戦開始の合図だ。
「うっし!行くか!」
そう言ってから千鳥は自分の部屋の方へ先回りを始めた。
―――1831時(一階ロビーにて)―――
「どうしたんですか?相良さん?」
「いえ、なんでもないです。」
「……にしてもすごい汗ですね。」
あたりまえだった。今から”例の作戦”を決行するのだ。緊張するのは当たり前だった。失敗すればマデューカスに……。ちなみにその作戦の内容とはこんな内容だった……
まず、宗介がテッサを部屋に案内する。そして部屋に着いたら宗介が席を外す。そして部屋に仕掛けておいたトラップ(仕掛け)を発動。テッサを散々怖がらせておいて千鳥がどさくさに紛れてテッサと混じる。そしてテッサを助ける。驚くテッサは「助けてくれてありがとうございます。」というはずだ(あくまでも”はず”である……)。そしてなんだかんだでテッサと打ち解け、そこへ宗介がやってきてなんとなくその雰囲気でテッサを”ごまかす”……というものであった。だから”ごまかし”作戦なのである。そしてトラップの発動のタイミングは千鳥の腕次第だった……(ちなみにかなめは絶対に失敗すると思っていたりする)
「まあ、部屋に着いたらゆっくりしましょう。」
「はい、テッサ殿。」
―――1832時(宗介たちの部屋の前にて)―――
「それでは入りましょうか。」
「はい。」
(千鳥、頼んだぞ……)
―――同時刻(隣の部屋にて)―――
「来た……」
千鳥はモニターを見ながらつぶやいた。そしてモニター内の宗介がテッサに何かを告げてから部屋を出て行った。
(今だ!)
千鳥は手元のボタンを押し込んだ。
―――1833時(宗介の部屋にて)―――
がたっがたっ
「きゃっ!」
窓枠が怪しく揺れて音を立てた。風なんて吹いてないのに……
かちっ……ぱっぱっぱっ……
「え!?」
いきなり部屋の蛍光灯が付いた。な、なぜなの……
「相良さんのとこへ……」
そう思って部屋のドアを開けようとしたが……
がちゃがちゃ
「あ、開かない……」
テッサは絶望に打ちひしがれていた。その時、外では……
(すみません。大佐殿……)
と、宗介はテッサに対し心の中で謝罪を繰り返していた……
がらっ、どさどさっ
「なっ!?」
音のしたほうに行ってみるとなんとひとりでにふすまが開き布団や枕が落ちたのだ。
「も、もういや!」
するとその時ドアの開く音がした。
(さ、相良さん?)
するとその人物はテッサを見てこう言った。
「て、テッサ!?なんでここに?」
「ち、千鳥さん!?助けてください!なんか変な事がたくさん起こってるんですよ。」
テッサは当初の作戦通り千鳥が何でいるのかはまったく気にしてないようだ。そう言っていると……
かちゃんかちゃん
クローゼットから何か落ちる音がした。
「く、そこかー!」
自分が発動しといた罠に過敏に反応(演技)しておいてクローゼットをばっと開けた。ハンガーが全部落ちていた……
「ふっふふふ……」
「な、なんで笑ってるんですか?」
「なんでって言われても、前に肝試しやった時にかなりびびったけど実は人がやってただけだったからね。」
千鳥はからからと笑う。
「す、すごい……すごいです。千鳥さん。」
「ははは……」
(さあ、ここまでは作戦通り。後は宗介に託すわ。)
そして扉が開いて宗介が入ってきた。
「テッサ殿。千鳥。」
宗介は棒読みで”台詞”を言った。
「さ、相良さ~ん。」
半ば涙目になって宗介にがっちり抱きついた。
「て、テッサ殿」
千鳥はその光景を見てついつい口走ってしまった。
「ソースケ!作戦と違うでしょ、ごまかすだけでいいはずでしょ?」
「……さ、作戦って一体……」
「あ……」
「……ち、千鳥……」
宗介は脂汗をだらだら流しながら二人の間で固まっていた。
「相良さんこれは一体……」
「そ、それは……」
その時宗介とテッサの間に千鳥が割って入った。
「あのねテッサ。これはね宗介が計画したテッサ強化作戦なのよ。」
「え?」
「な……千鳥一体何のはな……」
ごすっ
宗介は千鳥の肘打ちを受けた。
「あんたはじっと聞いてなさい!」
宗介は肩をすくめた。そして千鳥は困惑するテッサに(嘘の)説明をたんたんと語り始めた。
「これはね宗介が計画したことなんだけど、目的は宗介はテッサが万が一またいつぞやの時みたいに一人だけになってしまった時のために、テッサを一人にして脅かして、主に精神面の強化を図った物なのよ。分かる?そして何で私がいるのかと言うと、宗介がテッサを脅かすために私を助っ人として呼んだってわけ。」
などと、苦しめの言い訳をした。
「そうなんですか……」
始めは疑っていたテッサだったが、
「あ、ありがとうございます。でも私は急に訪ねてきたのにどうやって先回りを?」
「うっ……」
(さ、さすがテッサね。細かいとこまで頭が回るわね。)
千鳥は散々考えたあげく、
「う、うはははは……。まあいいっていいって。それよりさーテッサ。何でテッサはここにいるの?」
テッサは顔を赤くして
「えっ?そ、それは……まあ、その……」
「ん?なんで答えれないのかな~。」
かなめはテッサが来ている理由を知っていたのであえていやらしく言った。
「もういいじゃないか、千鳥。」
今まで黙っていた宗介が口を挟んだ。
「……そうね。まあいいわ。」
千鳥は問い詰めるのをやめた。どうせ理由は分かっているのだから。
「千鳥。そろそろ打ち合わせの時間だ。」
千鳥は金色の時計を見てそう答えた。
「なんなんですか?その打ち合わせって?」
テッサが話の内容が分からずに聞いてきた。
「ああ、生徒会の用事で旅館と話があるのよ。」
「なるほど。それじゃあ私も行きます!」
妙に口調を強めて答えた。
「え~~~!?」
「……」
そのとき、空に出ていた月が雲に隠れ、辺りが暗くなっていた。
続く
あとがき
めちゃめちゃ遅れました。やっとこさ四話目です。
いやーテッサのセリフ少ないな……次でセリフが増えます(のかな?)。
それともう冬ですね……早めに五話目完成させるんで宜しくお願いします。
それでは!