ジャックと髪の木 by きょうか
昔々あるところにサガラ・ジャックと云う青年がヤンママと爆発的に暮らしていました。ざんばらの黒髪。目つきは鋭く、眉根にしわを寄せ、口をきっとへの字に結んでいます。緑のとんがり帽子に都市迷彩のベストをまとい弓の代わりにショットガンを背負っています。彼なりにグリムのつもりのようです。
「千鳥、ジャックと云う階級はどのくらいだ?
「階級じゃない!ただの名前よ!何の変哲もない!!いちいち疑問をもたない!」
「むう…しかし暗号は知っておかないと緊急時に…」
すぱん!
舞台に高らかな響きが渡りました。
「何の緊急時よ!?」
いきなり謎の少女は背中に背負っていたゴルディオンハリセンでジャックをはたき倒しました。ジャックは床にぶつかりそうになりましたがそこはさすがコールサインを持つだけあります。どうにかこらえて…
「痛いじゃないか!…ところで…君の出番はまだのようだが…」
「失礼しました~~~~~!!」
ダッシュでかけてく謎の少女…彼女は敵か!はたまた味方か!?次回に続く!!
まぁ…その話はおいといて…とにかく自分の名前すら不満をもつちょっと変わった青年でした。
ある日ジャックはボンテッサを売るために連れていました。
「ふもっふ~(サガラさ~~~ん:泣)」
ジャックの家は先祖代々貧乏で、もう干し肉も塩も水もきれてしまったのです。
「実際は飲まず食わずでも1週間くらいはもつのだがな俺がアフガニスタンのほぼ北にあるトルクメニスタンにいたころには…あれはさすがにきつかったな…10日もったが瀕死の状態に近かった。判断力がかなり欠けていて手榴弾をパイナップルと間違えた程だ。仲間が止めてくれなかったら俺はこの世にいなかったかもしれない…ん?クルツ?次の台詞は確かおまえだったと記憶しているが…?」
ジャックのお母さんがこの世から誰も相手にされなくなってしまうと云うそれはそれは恐ろしい病気にかかっていて食べ物が必要なのでした。
「むぅ…そう云う理由があったのか…と云うわけだ…ボンテッサ…君には悪いが上官の命とあらば仕方がない…」
「ふもっふふ!!ふもっふももふも~!!(サガラさん!?上官って私のことですよ!)」
「大変残念なことだ…だが俺は君を売らねばならない」
「ふもっふふもふもふ!ふもももっふもふふもっもふ~(ひ…ひどいですよサガラさん!!かなめさんの時は必死で守ったのに私の時はそ…そんな簡単にぃ~!)
すると途中でおばあさん(げしっ!)おばさん(どげしがしゃん!!)…お姐さんに会いました。
(まぁ、よろしい)
「あらジャック!かわいいぬいぐるみ連れてるじゃないの」
「うむ…これはボンテッサと云うぬいぐるみなのだが昔の友達(戦友)に貰って今まで大切に育ててきたものだ。装備品にすればかなり役に立つぞ」
かわいいだのと云う言葉はこの男からは地球が南極と北極が入れ替わろうとも出てきません。哀れなテッサちゃんですね。
「ふ~ん…あ!そーだ!!あたし中佐からも貰った豆持ってるんだけど交換する気ない?」
「豆だと?他にはないのか?ボンテッサと交換するには少し惜しいのだが…」
「ふっふっふ~…中佐からも貰った豆っていってるでしょう?ただの豆じゃないのよ…効果は食べて(!?)みてからのお楽しみ!」
意味ありげに云うマオ姐。
ジャックはこの言葉の意味がわからなかったのでとりあえず興味本位程度に交換することにしました。
「ふもっふも~!(サガラさ~ん!)」
「さて…何のために俺はボンテッサを交換したのだろう…」
もはやヤンママの存在どころか目的までもが忘れられてしまいました。
ん?ヤンママって誰のことだっけ?
…とにかく、ジャックは目的を思い出そうと努力しながら家に帰りました。
しかし作戦を絶対に忘れないジャックでもとうとう思い出せませんでした。
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「今帰った…ふむ、誰もいないのか?」
「お帰り、なんか買ってきた?」
「さてこの豆をどうするか…」
「お~い…無視すんなよ…」
ジャックは先程おば(どかかかかどっしゃんがきゃりやぁ)…お姐さんと交換した魔法の豆とやらを疑惑の眼差しじっぃぃぃぃぃぃぃ~くりで観察しました。
大きさは半径1,5cmほど、黄緑色で所々に黒い模様が…外見はただの何の変哲もない豆でした。
「聞こえて無いのかねぇ~ 」
しかし…中に爆発物がないと云う保証はどこにもありません。
「…用心に越したことはない…調べる必要はあるな」
「おお~~~~~い、相良~ぁ~ 」
そういってファイバー電子スコープを食器棚であったはずの戸棚から取り出しました。勿論今ではもう使われていません。
片手でピンセットを使って豆の皮をいじってみます。音もたてず息を潜めて…かみっ かみっ…等間隔で何か不思議な本当に摩訶不思議な音がなっています。
「く…やはり爆弾か!!!」
「何?何?な~に~?一体ど~したっての、ヲイ!ヲイったら! 」
それからのジャックの行動は早かったのです。
豆の中を凝視するほどスコープで形に出して観察して中の核を見つけ…時限爆弾の無力化が不可能なことを確認するや否や豆をそばにあった蒲団(ヤンママがくるまっていた)にくるむと、渾身の力を込めて庭に投げつけました。
「ヲイちょっと待て、ど~する気だ・・・だから~聞けぇ!!!」
どかん!!
ジャックの庭の真ん中で大きな爆風と爆発音とマツタケ雲がおこりました。周りの木々は原形をとどめておらず辺りは一瞬にして不毛の地と変化を遂げたのです。
その代わり被害者は誰1人としていなかったようです。最も適切な処置ができたようです。
「 ・・・結局これかいなぁ(滝涙)」
「しかし何故マオは俺にこんなものを…?」
翌日早朝〇五〇〇時 ジャックはいつものように音もなくベッドの下から這い上がり外を見ようとしました。そしていつものように窓を開けー…
「!?な…」
いつもの〇五〇〇時ならば淡い水色と紺色とのグラデーションが綺麗な景色が見られるはずなのです。しかしジャックは言葉が出ませんでした。
真っ黒なものが目の前にあるのですから。まだ夜中かとも思ったほどでした。それが髪だとわかるまでに7、82秒を費やしました。
つやのあるまだ黒い髪…ただし太さは髪でも長さが半端じゃなかったのです。その髪は天まで伸びていて屋久島の杉の木を思い出させるようでした。
「…中佐殿の髪が薄くなりだしてきたことは村人の噂では聞いていたが…この豆がまさか養毛剤だったとは…考えも及ばなかった…」
及んでいたらえらいこっちゃです。
「ふ…登ってみないか?」
その髪の毛はまるでジャックに挑発しているようでした。相手の挑発の乗るのは無論特策ではありません。むしろ言語道断です。しかし―――
ジャックは家に引き返すと装備を整えました。自動拳銃、リボルバー、コンバットナイフ、投げナイフ2本、アーミーナイフ、手榴弾、催涙弾、スタングレネード、プラスチック爆弾…
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円筒形のアクリル製棺おけ…
「あの…ずっとこーしてなきゃいけないの?」
金の鳥は退屈でした。彼女は髪の毛から何まで衣装は全て金でできていて、いかにもどこぞやの豪富邸で飼われていたと云う気品が感じられました。勿論、彼女はここで飼われている鳥ではありません。
予想もおつきのように大男にさらわれてしまったのです。大男とは雲の上で好き勝手していると云う許しがたい悪者なのです。
何故かスーツ姿のその大男は黒髪に無精髭。痩せこけた顔、いつも口元はにやけています。前髪に隠れた額には大きな傷跡が見られます。目はうつろでどこを向いているのか、何を考えているのか全くわかりません。
とにかくここは大男の家です。まるで刑事モノのファイナルステージよろしくひっそり閑としていて不気味なことこの上なしです。部屋の周りにはカシム人形、カシムTシャツ、カシムマグカップ…カシムグッツ勢ぞろいでした。
金の鳥は変な装置の中から出してもらえず頭はしっかりベルトで固定され、ゴーグル式のヘッドマウントディスプレイが取り付けらていました。
「ここで起きてるのよ…はぁ…」
金の鳥はつぶやきました。今の言葉は「事件は会議室で起きてるんじゃない!!現場で起きてるんだ!!」と云う言葉に返したものでした。
「もう踊る大捜査線は見飽きたわ…他に何もないわけ?」
「悪いねぇ…予算が今年は少ないんだ。お望みなら機関車トーマスがあるが見るかい?」
大男が金の鳥に返しました。
「…もうビデオはいいわ…ねぇ、いいかげんこっから出して、疲れたわ」
その金の鳥に大男はせせら笑いました。
「明るいねぇ…いや、いつに落ち着いているよ、君ィ。明日解剖されるって云うのに…普通なら半狂乱で苦しみもがいてるんだけどなぁ」
「いえいえ…解剖したって何もでてきませんからやめた方が…」
「金の卵を産むんだろう?そんな鳥が100匹でも1000000000匹でもいたら?一生遊んで暮らせるんだよ。その為に遺伝子をとっとかなきゃ…ははは最高だよ!
ヒィ~ハッハッハ…ギャハハハハ…」
もはや大男は夢見心地です。金さえあればカシムをこの広い世界から探せます。出逢ったら二人でこの世に生きる喜びそして悲しみのことについて語り合うのです。
「…」
そちらの頭を解剖しないのかしら…金の鳥は心底思いました。
「ふぅ…」
一方ジャックはやっとのことで雲の上にたどり着きました。
「ラムダ・ドライバが動いてよかった…」
さすがに雲までは登れないので、ジャックは唯一の宝物、ARX-7を使ったのでした。
いつぞやの村を破壊しようと企むテロリストたちが使っていた「ベヘモス」と云う機械を回収。その中にプログラムされていた無重力装置を独自で改造して人間の夢である、いわゆる「飛ぶ」と云う機能を身につけた優れものです。
普通なら三ヶ月はかかるのですがなんと2日で着いてしまったのです。
ところで…題名になっている髪の木は一体何のためにあったのでしょうか?ただの目印としか活躍しなかったようです。
しかし、アーバレストも48時間フル活動だったので休ませなければなりません。ジャックはハッチをあけてコクピットから降りました。そう…ここからは「歩き」です。
「しかし…気圧の威力や雲は水蒸気だからのれないと云う問題があるのだが…」
…理屈だけでは童話にならないのです。だってそうでしょう?階段の途中で落としたガラスの靴が12時過ぎたのにもかかわらず消えなかったのは何故でしょうか?
お話ではシンデレラがはいていたほうはちゃんと消えてたんですよ?
自分はそれが気になって気になって「なぜなに子供相談局」に電話したほどですから…ちなみに返ってきた答えでは「それは王子様のシンデレラを思う気持ちが魔法使いのおばあさんの魔法の力に勝ったからですよ」でした。
自分はてっきり王子様と魔法使いのおばあさんとはグルで、王子様は魔法使いに報酬を取らせる代わりにシンデレラをわざと探させてハッピーエンドを迎えさせようと図ったからなんだと思っていました。
(一部実話)ところで、ガラスの靴が当てはまる人物がいなかったのはシンデレラの足のサイズが31,5とそりゃあ当てはまらんわなと納得できるでかさだったからだと解釈。
…とにかく、童話在るところに矛盾大在り!といった格言でしょうか…
ジャックはやっと見つけた大きな城のような家の前で愛用の38口径の5連発リボルバーを構えました。
庭といった庭はないらしく、家といっても箱家でした。敵の本拠地にしてはちょっとお金がないようです。
ジャックは細心の注意を払って窓から入ろうとよじ登りました。しかし、いきなりどすん!と家が動き、あともう少しで落ちるところでした。
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「じゃあオペの先生を迎えに行ってくるから…おとなしく待ってるんだよ」
「…」
大男は家の鍵をがっちゃんとかけると、どすん、どすんと地(雲って音ならないのでは…?)響きを立てながら出て行ってしまいました。
金の鳥はやっと大男がいなくなる!と万歳するわけにもいかず周りをきょろきょろと…勿論ここから脱出しようと云うのです。
まだバンジ-じゃンプだってやったことないし友達に録画してもらっておいたビデオも見ていません。
やりたいことがいっぱいあるのにこの若さで死ぬなんて神が許しても私は許さない!!…先程の地震のおかげでどうにか頭のディスプレイははずれたのでとにかく辺りを見回しました。
すると、がしゃんと音のした窓からなにかが入ってきました。
「誰!?」
「!」
いきなり声がしたのでジャックは警戒し金の鳥に銃口を向けました。
「鳥…貴様…話が通じるのか?」
「ちょっと!危ないわねぇ!!いきなり人に銃口向けないでくれる?」
鳥だが…とジャックは思いましたがあえて口に出さず銃を下に向けました。
「ふむ…話は通じるようだ。捕らわれの身なのか?」
「見てわからない?…あんたも私を助けにきてくれた…なんてヒーローじゃなさそうね…」
「…すまない…」
ジャックは何故か流れに流されて謝りました。
「ここの家に住んでいる者は?」
「…」
金の鳥は思い出したように悲しそうな表情で…
「今出て行ったわ…私を手術する先生を連れてくるとか…」
「やさしい主人ではないか…何処か病気なのか?」
ジャックが大勘違いに感想を述べていると金の鳥は泣きながら訴えました。
「解剖されるのよ!!ブラックテクノロジーだとか遺伝子だとかわけのわからん…嗚呼…もう!」
「!?…そうか…ならば話は早い」
たん、たたん!!ぱりん、がしゃらしゃん…
「!!きゃあぁ!!」
ジャックは金の鳥に発砲…いや、正しくは金の鳥の取り巻いている機械を正確に打ち落としていきました。
「そっから出ろ!」
「何!?た…助けてくれるの?」
ジャックはこくんとうなずきました。
「早くしろ…ここの主が帰ってくるやもしれん」
「まださっき行ったばっかりだからだいじょうだと思うけど…あ…ありがとう…」
「礼には及ばん」
無愛想に返事をすると金の鳥はへぇ…結構いい奴じゃないの…非常識な奴だけど…
「あなた…名前は?」
「ジャック…サガラ・ジャックだそうだ」
「だそうだ?」
「いや…気にするな、忘れてくれ」
忘れてくれと言ってもリセットボタンを押すわけにもいかず…
「ふ~ん…」
と曖昧な言葉で濁した金の鳥でした。
「く…結構高いわね…」
「ほら…頑張れ、あと少しだ!」
金の鳥はジャックにサポートされながら壁を登りました。
「よくこんな高さなのに入ってこられたわね…窓…開いてなかったでしょ?」
「ふむ…気力と根性の証だ。窓は…誠に悲しい話なのだが…」
「?」
少しためらってジャックは続けました。
「2重構造の強化ガラスだった所に自分が持っていた全ての弾薬を叩きこんでしまった…まさか全て使うことになるとは…もう少し多めに持って来るべきだったな…作戦失敗だ」
「ところで…聞く気にもなれないんだけど一応参考までに聞いてみるわね。いくつ使ったの?」
「37個だ」
ジャックは悔しそうな顔で言いました。
どこに37個も弾薬を持っていたんだろうなんて考えちゃダメです。いいですか? 童話在るところに矛盾大在り!ですよ。
「わぁ…」
青いすんだ空に下は明るい白い雲…空気も冷たくひんやりしており生き返った気持ちでした。
現場(ジャックが努力と根性で開けた窓)まで来ると金の鳥ははしゃぎました。当然です。ずっと機械だらけの棺桶の中でじっとしていたのですから…
「懐かしいなぁ…外の世界だ…」
「!」
「どうしたの?」
「感慨にふけっている暇はない…壁を登るので時間を喰ってしまった…何か大きなものが来る…急げ!こっちだ!!」
「うわぁっ!!待ってよ!!」
金の鳥を引き連れてジャックはダッシュで壁の陰に隠れました。まもなくして、彼の感じた通り地響きが起こりました。大男が医者を連れて戻ってきたのです。
隠れた2人は息を潜めます。声が耳鳴りするほどに聞こえてきました。
「それで…金はあるんだろうなぁ?」
「なきゃあんたに頼まないさ…やれやれそんなに心配するなよ。大丈夫さ…」
お決まりの悪役の台詞です。大男はポケットからジャラジャラ色々とついた鍵(無論カシムキーホルダーつき)でドアをぎぎぎぃ~と開けました。
(今だ!)
ジャックは金の鳥を引っ張りながら猛ダッシュしました。大男が部屋を見て金の鳥がいなくなっていることに気付くまでにさして時間はかかりません。
かかってプチッとキレる時間程度のものです。折角連れ出してあげたのに…しかも今度は確実に殺されてしまいます。ジャックはどうにか金の鳥を自由にしてあげたいと思いました。
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「!?な…」
「どうした?」
大男はあっけにとられました。無理もありません。棺桶はすっかり空になっていてご丁寧なことに機械まで壊してあります。
「やってくれたじゃねぇか…」
「何だ?クランケに逃げられたのか?」
機械の破片の先をたどってみると窓が割れていました。
「五月蝿いな…まぁなに…すぐにまた捕まえられるさ…小さいソルジャーがどれだけ必死になってもナ…」
「よくそんなに飛ばして走れるわね…」
「くっ……はぁ…はぁ………」
「ごめん…もう話し掛けないから走ることに集中してください…」
もう奴はこちらに向かっているかもしれない…そうするとゲームオーバーです。あんな大きな化け物相手になりません。
どうにか距離だけは稼いで作戦を練らないと…見渡す限り壮大な青空と雲平線しか見えません。もう少しで昨日乗ってきたASが見つかるはずなのですが…
しかしどうにもできません。ジャックは走るのは決して遅くはありませんが、距離が距離、相手が相手です。だからと言って…
(諦めるものか!)
「…」
この人…なんで必死になってるんだろう?もともと無理を願ったのはこちらなのだから諦めてくれてもいいのに…と金の鳥が思っていると…
「ね!?あ…あれっ!っ前前!!!」
「!?」
白い彼方にキラリと光ったものを見つけたのです。ジャックも少し希望が出てきました…あと500M程です。
ダン!!
「……」
「ジャック君!?」
今まで死ぬ気で走っていたので痺れて重たく痛みも感じなかった右足首がまた痛み出してきました。
何か暖かいものが自分の足に滴り流れているのを感じました。骨にはきていないようですがかなりの出血であることは間違いありません。
「あ…足首!!」
「く…問題ない…ただのかすり傷だ…」
しかし…走るペースは遅くなっていました。
どっすん!どすん!
「よくやってくれるヨなぁ…なぁ!カシムゥ~! まさかお前からきてくれるとは嬉し~ぜ!さぁ鬼ごっこと参ろうか?あぁ?」
地響きはひどくなり走りにくいことこの上なし…後ろを振り向くまでもありません。大男です。
しかも金の鳥は驚いたことに、このジャックと云う人は大男と知り合いだった…カシムだそうです。
ダダン!!ダン!!ダダンダン!!
乱れ撃ちで撃ってくる大男には構わず2人は必死で走りました。もはや息さえできません。死ぬよりは撃たれた方がマシです。
大男の影が2人にかぶさると同瞬に…2人はASにたどり着きました。
ジャックは慣れた手つきですばやく乗り込み、金の鳥はあらかじめにはなしあったとおり差し出されたASの手に飛び乗りました。
どががががぁん!
大男の武器がサブマシンガンからライフルに変わりました。ジャックはどうにか持ちこたえました。が、
「っきゃあ!」
金の鳥にとてつもない爆風が襲い掛かりました。
「意識はあるか!?」
「けほっ…がはごほっけほっ…ナ…何とかね!」
大した鳥です。
「殺しはしないからその鳥かえしな」
次から次へと大男の銃弾が襲い掛かります。しかし助かる道は―――
ダダン!ダダダダダン!!
≪右脚・足首間接部分―破損・制御不能≫
「的はできたぜ!」
わざと右足を狙われました…これでは動きが完全に取れなくなってしまいます。
しかしー…
「Gに逆らえるか?」
「は!?何いってんの?」
悩んでいる暇も返事を聞いている暇もありません。大男は心臓部を狙っています。
「…生きてろよ」
ジャックは覚悟を決め、背中に構えていたライフルを大男の手に撃ち…相手がひるんだすきに金の鳥を抱えるように姿勢をまるくすると雲からー
「ち…ちょっと…」
「!」
まっさかさまにー
「っっっつ」
「んな!」
落ちました。
「つきゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
一瞬的に金の鳥の叫びが響き渡り…
っどがしゃららん…とは逝かずにジャックは精神集中して冷静にラムダ・ドライバを発動させ、しゅううううううううううずん!と着陸成功させたのでした。
安心する暇もなく…単分子カッターで髪の木を断ち切り、発火装置をつけて爆破しました。
「…」
金の鳥は?と云うと…気絶してのびていました
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「ジャックううううううう!」
すぱん!
金の鳥はいつものようにジャックの頭をはたき倒しました。
「痛いじゃないか!」
「やかまし!痛くしてるんだから痛いに決まってるでしょ!!ったくもぉ!!せっかく友達から来た手紙を爆破するなって…何度言ったらわかるのよ!!!」
「しかし本当に友達と云うものが信じられる…そんな世の中など…」
「あるの!!」
あれから金の鳥とジャックは幸せに(!?)暮らしているのでした。
めでたしめでたし…
あとがき
これはえらく昔に書いた小説なので、色々と矛盾する点やおかしい部分もありますが、少しでも笑ってくだされば幸いです。
目を通してくださって、有り難う御座いました。