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2014.02.20 10:51

鬼軍曹相良宗介 by 量産型ボン太くん

某月某日 メリダ島 作戦会議室

2月1日 メリダ島 兵舎

「セツブン…?」
この日はもう訓練もなく、暇を持て余していたクルツは宗介に何げなくそろそろ節分の季節だな、と言ったのだが…。
「ソースケ、おまえまさか節分知らねえのか?」
「なんだそれは。」
「っだあああ。おまえホントに日本人かよ。いいか、節分ってのはな、病気とかなんかを持ってくる悪い鬼を豆を蒔いて追い払うんだ。んで、自分の歳の分だけ豆を食べるわけだ。」
「まるで分からん。病気とは鬼とやらが持ってくるものではない。それに鬼というのが何者か知らんが豆などで倒せるわけがない。」
「…おまえってやつは…。よし、んじゃ実際に豆まきやろうぜ。実際にやってみれば節分がどんなものかわかるだろ。」
「そうだな。」
「2人だけでやるのも空しいから、他のヤツも誘おうぜ。でもただ豆を蒔くんじゃつまんねえな。何かもっとこう…。そうだな…。
おお、そうだ!いい事思いついたぜ。いくぞ、宗介!」
クルツは勢いよく立ち上がると宗介と兵舎を後にした。

同日 基地の食堂

食堂にはテッサとマオがいた。2人とも世間話などをしていたのだが、そこへクルツと宗介が入ってきた。
「なんだ、こんなとこにいたのかよ。」
クルツはテッサの向かい側の椅子に座ると、こう切り出した。
「なあ、テッサちゃん。聞いてくれよ。ソースケのやつ節分も知らねえんだぜ。日本で暮らしてる以上知っておく必要があると思うんだけどさ。そこでだ、うちでも豆まきやらねえかって話をさっき宗介と話してたんだよ。」
クルツの突然の提案にマオとテッサが答える。
「いきなり入ってきて何を言うかと思えば…。節分ねえ…。」
「節分ですか、いいですね。やりましょう。」
テッサの返事を聞いてクルツはさらに続けた。
「でもただの豆まきじゃあ面白みってものがないだろ?だからさ、ASを使って豆まきするってのはどうよ?」
「え…?」
「2チームにわかれてやるんだよ。片方が鬼の役でもう片方が豆を蒔く役。それで無事鬼を撃退できたら終了ってわけだ。」
「だめですっ!そんな事に大事な機材を使うわけにはいきません!」
「いいじゃん、ちょっと変わった趣向の演習だと思えばさ。」
「それでもだめです。」
「いっつも同じ訓練内容だと腕が鈍るかもしれないぜ。たまにはこういうのも悪くねえと思うんだけどな。」
「でも…。」
「マデューカスのおっさんが明後日出掛けるから今がチャンスなんだよ。」
「………。」
テッサはしばらく悩んでるようだったが、やがて決心したように言った。
「そうですね。たまにはいいかもしれませんね。」
どうやら明後日は中佐が不在、というあたりで心が動いたようである…。
かくしてメリダ島を舞台にした豆まきが行われることになった。

準備は極秘裏に進められ、中佐が出かけてから開始することになった。
準備の段階でクルツの主張により鬼役のASに鬼のお面をかぶらせて、さらに虎柄のパンツを穿かせるかどうかで真剣に議論がなされたが結局却下された。
兵装についていえば、「鬼の武器といえば金棒だ。」という意見がでたため、鬼は以前マオが順安で使った日本刀サイズの単分子カッターを使うことになり、さらにASが握れる大きさの豆がないので訓練用のペイント弾を使うことになった。普通の演習と変わらない気もするが、鬼は単分子カッターしか使えず、豆を蒔く方は単分子カッターが使えないというところが普段の演習と違うところであった。
しかし片方だけが銃を使えることに対して宗介から異論がでた。
「不可能だ。銃と単分子カッターでは勝負にならん。遠距離からアウトレンジされればそれでお終いだ。」
そこで鬼役には、西太平洋戦隊でASの近接戦闘の技術が特に優れている宗介とクルーゾーが選ばれ、銃は射程距離の比較的短い57mm散弾砲を使うことにした。

2月3日 節分当日

中佐が出かけていくのを見届けた一同は、豆まき開始にむけて最終チェックを行っていた。
宗介も自分の機体に乗り込み、AIを起動させていたのだが…。
「アル。調子はどうだ。」
<<好調です。軍曹殿。今朝整備を受けましたが何の異常も発見されていません。ところで軍曹殿は節分の意味を知らない、と聞いたのですが。>>
「何故おまえがそんな事を知っているんだ…?」
<<私がその事を知っている理由など些細な問題です。それよりも節分の話ですが、節分とは本来【季節を分ける】ことから節分といわれています。
そして節分の日には炒った豆をその年の年男が「鬼は外、福は内」と言いながら蒔きます。そしてこの時蒔いた豆を自分の歳の数だけ食べて1年の無病息災を願う風習があります。何故豆を蒔くかについてですが…。>>
「もういい…。黙っていろ。」
<<ですが軍曹殿、今回の訓練の性質上節分についての知識を深めることは必要であると思われますが。>>
「俺は黙れと言っている。」
<<失礼、黙ります。>>
日増しに発言がAI離れしてくるこのAIに宗介は頭を抱えていた。
そして宗介の苦悩をよそに準備は整い、豆まきは開始された。

宗介の乗るアーバレストを静かに狙うASがあった。クルツの乗るM9である。彼のM9は見つからないよう木々の中に潜んでいた。
「ふっふっふ。豆まきはやっぱし近距離から豆を浴びせるにかぎるぜ。」
クルツは照準のため機体をわずかに動かし射撃態勢に入る。
「悪く思うなよ、ソースケ。鬼ってのは倒される宿命なんだよ。鬼はー外ー!!」
クルツはそう叫ぶとトリガーを引いた。

宗介は神経を研ぎ澄まし、敵を探していた。このあたりにはいないようだが、それでも宗介は注意を怠らなかった。その時視界の片隅で木が僅かに揺れた。
反射的に宗介はその場を離れようとしたが、クルツの放ったペイント弾はアーバレストに直撃した。

トリガーを引いた瞬間、クルツは勝利を確信していた。この距離なら外れることはない。そう思いアーバレストを見る。アーバレストの真っ白な装甲がペイント弾をあびて青く染まって…………いなかった。アーバレストには染み一つついていなかった。
「なにっ!?一体何が…。まさかあいつ…。」

「アル。作動したな。」
<<肯定です、軍曹殿。ラムダ・ドライバが作動しました。どこにも損傷はありません。>>
「最近はだいぶ自由に使いこなせるようになったな。」
<<私と軍曹殿の息があってきたということでしょうか。>>
「気味の悪いことを言うな…。」
そこへクルツから無線が入る。
『ソースケ!ラムダ・ドライバ使うなんて反則じゃねーか!それじゃいつまでたっても鬼を追い払えんだろうが。』
「何を言う。不利な条件下で相手を倒すのに自分の機体の機能を最大限に利用するのは当然だ。第一、鬼だって【盾】ぐらい持ってるだろう。」
『鬼はそんなの持ってねー!』
クルツはさすがに不利とみて一旦その場を退いた。

その後散発的な小競り合いがあったが、遂に犬猿の仲といわれる2人が対峙した。クルツとクルーゾーである。
「まさかこんな形であんたと戦うことになるとはな。中尉さんよ。」
「それはこっちのセリフだ。よくも今まで数々の名作アニメを冒とくしてくれたな。この恨み、今ここではらす…!」
クルーゾーが言い終わるやいなや、クルツがペイント弾を叩きこむ。それをクルーゾーは単分子カッターでなぎ払う。最早人間業ではない。クルーゾーがクルツの懐に入ろうとするが、クルツは巧みにそれを避ける。クルツがたてつづけにペイント弾を放つ。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラー!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ー!」
しかしそのことごとくをクルーゾーはなぎ払い、叩き落した。こんな戦いが永遠に続くかと思われたその時…。
「みなさん、マデューカスさんが帰ってきました!早く撤収して下さい!」
司令室にいるテッサが無線機にむかって叫ぶ。一同は一瞬顔を見合わせ、そして大慌てで撤収し始めた。しかしそんなに早く片づくはずもなく、全員が予定よりも早く帰ってきたマデューカス中佐にこってりとしぼられたのであった。

2時間にわたるお説教からようやく開放されたクルツとマオと宗介はトボトボと廊下を歩いていた。
「あ~、まったく何だってあんなに早く帰ってくるんだか、あのおっさんは…。」
「っていうか結局、鬼は1匹も倒せてないんでしょ。なんか今年もいいことなさそうね…。」
「節分とは疲れるものなのだな…。」
「そういえばソースケって明日トーキョーに帰るのよね?学校は休みなんでしょ。何か用事でもあるの?」
「ああ、カナメから呼び出されている。用件は聞いていないが、必ず来るようにと言っていたな。」

宗介はまだ知らない…。その頃日本で千鳥達が【オニ…2年4組全員VS豆まき…宗介1人】という壮絶な豆まき大会を計画していたことを…。

おわり

 


あとがき

おはこんばんちわ~(古っ)量産型ボン太くんでございます♪一応節分ネタのつもりだったのにほとんど節分と関係ない内容になっています(汗
っていうかアレはすでに豆まきじゃないです。豆使ってないし。やはり某漫画みたいに銃に豆を装填してやるべきだったでしょうか(マテ
おまけに戦闘シーンが皆無。ううむ…、もっと精進せねば…。最初はロジャー軍曹とかスペック伍長とかハマー中尉とか出す予定でしたが、 キャラがよく分からなかったんで止めました(笑
でわでわこの辺で。

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