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2014.02.20 10:54

焼き芋? by ひび

ここ陣代高校の校庭の端っこでは面白い事が起こっていた。
「じゃあ、男子は落ち葉集めてきて」
「それって男女差別じゃねえのかよ?女子は何すんだよ?」
「そ、それはね」
「それは?」
小野Dと風間がかなめに迫る。
「お芋をアルミホイルで包むのよ」
「・・・」
「あ、何その目は。この作業はね、とある国の軍隊が総がかりでやっても達成できなかったほどの熾烈さなのよ」
「・・・」
「そ、そうだったのか。では千鳥この任務は俺が―――」
シパーン!
「アンタは信じないの!」
「そうだよ相良君、いくらなんでも君一人じゃ無理だって。ここはASを使って―――」
シパーン!
「痛いじゃないか、千鳥さん!」
「風間君もソースケの影響受けないの」
「俺以外の人間が千鳥にハリセンで叩かれるのは久しぶりに見たぞ」
「それにしても相良君いつもこれ受けてるの?」
「肯定だ」
「ちぇ、仕方ねーや、相良、風間行こーぜ」
渋々従う男三人。それをかなめが引き止める。
「ちょっと待って、人数だけ確認しとこ。アタシにソースケ、恭子、小野Dに風間君ね」
「ま、待ってくれ千鳥、俺もいる」
かなめが振り向くと、落ち葉に覆われた一成が地面に這いつくばっていた。
「椿、それでは野戦迷彩としての役割は果たさない。ちょっとかしてみろ」
宗介は一成に乗っている落ち葉を取り払う。
「あっ、ばっ、相良」
かなめの後ろの一成のさらに後ろで、ニュー○イプが何かを感じ取ったような閃き音が鳴り響いた。
「イッセーくーん。そんなところにいたのねー」
ずるべたっ、どしゃ。『ずるべたーん』とはまた違った擬音が鳴る。
すごい勢いで近づいて来た瑞樹を避けることが出来ず一成は鼻をしたたか打った。
「くそ、これも相良の陰謀か…」
「何のことだ?…む?椿の脈がない」
「え、ちょっと待ちなさいよソースケ。マジなの?」
「いや、あった」
シパーン!
「やはり、なかなか痛いぞ」
「もう寸劇はいいから落ち葉集めてらっしゃい」
宗介に小野D、信二に一成を加えた男子陣は落ち葉集めに向かった。

「相良、あの女はどうにかならんのか?」
「稲葉のことか?俺は一切関与していない」
「くそっ…だが千鳥と焼き芋だけでよしとする―――」
タタン、タタタン。
「いきなり銃とは卑怯だぞ相良!」
「何か不快な発言だったので撃ったまでだ」
「相変わらず相良君のモデルガンって本物そっくりだよね」
「一回撃たせてくれよー」
「ダメだ小野寺、素人がさわるものではない」
「じゃー、おめーは何なんだよ?」
「君には知る資格はない」

とりあえず男子陣が落ち葉を集めている間女子陣は。
「ねえかなちゃん、お芋以外のもの入れてみない?」
「んー、そうねえ、いいかもそれ」
と、悪巧みをしていたのでありました。

「じゃ、必要なものは揃ったわね。始めるわよ」
落ち葉で山を作り、その中にアルミホイルで包んだお芋を入れる。
「ソースケ、マッチ」
「ないぞ」
「小野D」
「俺は持ってねーよ」
「風間君」
「千鳥さんが持ってるんじゃなかったの?」
「恭子」
「そんなもの持ってないよー」
「瑞樹」
「あるわけないでしょ」
「椿君」
「最後なのが気になるが持ってるぞ。この前理科準備室で練習していたときに拾ったものだ」
「あの部屋まだ使ってたの?ちゃんと部室できたでしょ?」
「我が大導脈流は実践を想定しているからあんな場所でも練習は必要なんだ」
「もう、しょうがないわね。じゃマッチ」
一成は制服の胸ポケットからマッチ箱を取り出す。
「じゃー、点火…って一本しかないの?」
「中身までは確認してない、すまん」
「まー、いーや、点火ー」
『ごうっ』
落ち葉に火を点けるやいなや一気に燃え広がる。
「ちょっ、何これ?」
「燃えやすいようにガソリンを少量混ぜておいた」
シパーン!
「ちったぁ学習しなさい!」
そんな漫才をしている間にも火はそこら辺の雑草へと燃え移る。
「おい、これヤバクねーか?」
「だよね…」
「俺は逃げる、さらばだっ」
「あたしもー」
「あっ、恭子と小野Dの裏切り者ぉ」
かなめはぎろっ、と宗介を睨む。
「アンタ何とかしなさいよ!行こ瑞樹」
かなめと瑞樹も去っていく。
「何で僕は残されてるの…?」
「俺も逃げるぞ、相良」
「誰がこんな事をしておるんじゃ?」
「・・・・・・」
宗介と一成が瞬時に固まる。
「ねぇどうしたの?」
「校庭で放火をしたのは誰だー!!」
声の主はもちろん陣代高校用務員『大貫善治』!
何かの作業中だったらしく既に手にはチェーンソーがあった。
「相良…」
「椿…」
二人は目で合図をして左右に散る。信二が一人その場に残された。
「えっ、何、何なの?」
そうしている間にも信二には目をギラギラと輝かせた狂戦士【バーサーカー】が迫っている。
チェーンソーが振り下ろされる。
刹那、信二の頭の中でマカダミアナッツかブ○ーフでもどっちでもいいが弾けた。超人的な身のこなしでそれをかわす。
タタン。大貫に銃弾が放たれる。大貫はそれを器用にチェーンソーで弾く。
だが、その後ろに一成。
「大導脈流奥義、血栓掌!」
吹っ飛ばされる大貫、しかし、片手をつき態勢を立て直す。
「相良ぁ!この前みたいな地雷とかないのかぁ!」
「先ほど千鳥に没収された!手持ちはこれと予備弾倉くらいだ!」
そう言い、持っている銃、グロック19を見せる。
「長期戦はこっちが不利だ、早めに決着をつけるぞ!」
「了解した!」
宗介が地面に弾丸を撃ち煙幕を張る。さらに後ろに回り込み残弾を撃ちつくす。
しかし、それも大貫はかわす。
そこに狙い済ましたように一成。
「大導脈流秘奥義!陰古苑座!」
ごすっ、と鈍い音がする。
「ふはは…ふははははははは!」
「効いてねえ…」
「椿!ここはいったん退け!生徒会室に行けば装備一式が揃っている」
「ああ」
二人は走る。しかし大貫の脚力は二人のそれを遥かに上回っていた。
そこに横から入ってくる黒い影。
「か、風間…」
宗介の手から銃と予備弾倉を奪い取る。驚異的なスピードだ。
そのまま空中に身を投げ銃を乱射する。それが寸分違わず大貫の急所へ命中し狂戦死【バーサーカー】は沈黙した。
「か、風間なのか?」
「え、どうしたの相良君?」
平然と応える。いつもの信二だ。
「何も覚えていないのか?」
「だから何のことさ?え、僕なんで相良君の銃持ってるの?」
そこに大貫が起き上がる。身を震わせる二人。
「わたしは何をしとったんだね?」
宗介と一成は今回の件でまた一つのことを学んだ。
この学校には二匹の猛獣がいるということを…

火はいつの間にか消えていた。そこに通りかかった神楽坂教諭は焼き芋を広い食いしようとしたが、アルミホイルの中身はコッペパンだった。

 


あとがき

今回はチャット内での話から一日で書き上げました。
前作よりは出来は悪いかなと思ってますが・・・
大導脈流秘奥義陰古苑座はオリジナルです。読みはインフルエンザとそのまんま

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