Please Kiss Me♪ 第5話 by 東方不敗
かなめさんと自分のプロポーションを比べてたら気分が沈みました。うう……。明日から牛乳二本ですっ!
<テッサの日記帳【勝手に見ないでくださいね】4月24日より抜粋(笑)>
「ソースケさん、夕ご飯できましたよ~♪」
「む、了解しました」
リビングに行ってみるとソースケさんがソファーに座って新聞を読んでるところだった。
「……どうしましたか、テッサ?」
わたしの視線に気付いてソースケさんが不思議そうに聞いてくる。ふふっ、なんだか……
「なんだかそうしてるソースケさんを見ると、普通に見えちゃうから不思議です」
「……よくわかりませんが、何故か侮辱されてるような気がするのですが」
「気のせいですよっ♪ ほら、夕ご飯ですよっ、久しぶりに和食だから、わたし楽しみなんですっ」
ぐいぐいとソースケさんの手をひっぱって食器の準備をする。うふふっ、なんだか顔がにやけちゃいます。
「はい、お待たせ~。……って、アレ? ソースケ、キョーコは?」
台所からほかほかとおいしそうな湯気を上げているじゃがいもの煮物の乗った皿を持ってきたかなめさんがリビングを見まわして声をあげる。あ、そういえば……
「ああ、常盤なら帰ったぞ」
「へ? 帰っちゃったの?」
「肯定だ」
「なんだ……。なんか遠慮とかしちゃったのかな……?」
「俺にはよくわからんが」
「そりゃアンタにはわかんないでしょうけど……。まいっか、ご飯にしましょ」
「はい♪」
「了解」
そんなこんなで三人での夕食が始まる。
「あ、この照り焼きおいしいです♪」
「へへ、そでしょ? この生姜が隠し味なのよね~」
「確かに、なかなかだな」
「へへ、ありがと……。あ、ソースケ」
「? なんだ?」
かなめさんがテーブルの向こうからソースケさんの頬に手を伸ばす。唇の辺りに手を持ってって、ソースケさんの下唇にくっついていたご飯粒を取って、
「へへ、ご飯粒、ついてたわよ♪」
ぱくってそのご飯粒を食べながら言う。む……
「……すまない」
「……ソースケさん、顔赤いですよ」
じと~ってソースケさんの顔をにらみながら言う。……かなめさん、もしかしていきなりアプローチですか。
「そういえば、千鳥」
ソースケさんが何か思い出したように言う。
「ん、なに?」
「常盤に伝言を頼まれた。内容はよくわからんが……『カナちゃん、あたしはカナちゃんのこと応援するけど、アレはちゃんとつけてやった方がいいよ。お母さんになっちゃったら困るでしょ♪』だそうだ」
ぶふぁっ!
「な、な、何よその伝言わあっ!?」
どばんっ! てかなめさんがテーブルを叩きながら叫ぶ。あ、顔真っ赤です。まあ、当たり前ですけど……けほけほっ。
それにしても……
「かなめさん……。もうそんなことまで考えてたんですか?」
確かに、その辺じゃ、わたし、その、負けてますけど……。胸とかも……ううっ。
「か、考えてるわけないでしょうっ!?」
「で、でも……」
どっちにしろ……その、そ、そーいうことはやる気なんでしょうし……
なんていうか、油断できませんね……その、そーいうことされたら、ソースケさんなんか押し弱そうですし……
「……それで、千鳥?」
「な、なによ?」
「その伝言は一体、どういう意味なのだ?」
「んなことあたしが言えるわけないでしょうがっ!」
かなめさんが顔をトマトみたいに真っ赤にして叫んだ。
「はぁ……お腹一杯です」
ふにゃぁってソファーの背もたれにもたれかかりながらぼやく。やっぱり、たまには和食もいいです……おいしいですし。
「そうですか。……テッサは、コーヒーはいりますか?」
「あ、お願いします」
「わかりました」
ソースケさんがキッチンに入っていく。かなめさんは今はキッチンで洗い物をしている。本当はわたしがやろうとしたんですけど、『せっかく止めてくれてるんだから』て追い出されちゃいました。
「……にしても」
ソファーの背もたれによっかかったままぼやく。
「男の人って、スタイル良い人の方がやっぱりいいのかな……」
さっきの夕ご飯の話の事だ。
わたしははっきりってあんまりスタイルはよくない。胸も、あんまり大きくないし……。それに、かなめさんやメリッサがおっきいから余計小さく見えちゃうし……はぁ。
それに、やっぱり、その、そーいうことをするとき、色気がないと男の人はがっかりするかもしれないってメリッサは言ってましたし……それに……
「……テッサ?」
「……あ、はいっ?」
顔を上げるとソースケさんがわたしの顔を覗きこんでいた。手には湯気の上がったコーヒーカップが二つ。
「……コーヒーを、持ってきましたが。何か、考え事ですか?」
「え、ええまあ、そうなんですけど……」
ソースケさんからカップを受け取りながらつぶやく。確かに、考え事って言えば考え事ですけど……
じっとコーヒーを持って向かい側のソファーに座ったソースケさんを見る。やっぱり、ソースケさんもそうなんでしょうか? 男の子だし、やっぱり、スタイルのいい人の方が……
「……ソースケさん」
「……なんでしょう?」
ソースケさんが、くっと視線をこっちに向けてくる。ううっ、なんか、実際聞くとなると恥かしいです……
「あの……その。ソースケさんは……」
「……?」
「そ、ソースケさんは……もし、一緒にいるとしたら、スタイルのいい女の子と、普通の女の子、どっちがいいと思いますか?」
「……は?」
「だ、だから、その……あの……」
顔をふせる。うー、顔が熱いです……
「……よくわかりませんが……普通の方が自分はいいと思います」
「……へ?」
「あまり胸が大きいと動くとき邪魔になると聞きますから」
「……は?」
動くときって……そんなこと気にするんですか?
「それに、男装などをするときも邪魔になるでしょう。作戦中にそういう事がないともかぎりません。だから……」
「……もおいいです」
はあっ、てため息をつきながら言う。やっぱりソースケさん、こういうことになると朴念人です……
「……テッサ?」
「いえ、もういいです……。なんか、本気で考えてた自分がバカみたい……」
「……そうですか。そういえば……」
じ~っとソースケさんがわたしの方を見る。……って、なんか視線の向きが……
「ど、どこ見てるんですか、ソースケさん」
顔を赤くして言う。じろじろ見ないでくださいっ。
「……いえ。……テッサ。その、悩みというのは、その……」
口をもごもごと動かす。なんだか言いにくそう。でも、なんて言いたいのかなんとなくわかる。多分……
「……多分、ソースケさんが考えてるのと同じですよ」
「……そうですか。……テッサ?」
「なんです?」
顔を上げる。ソースケさんはぽりぽりとこめかみの辺りをかきながら、
「その……自分は、そういうことは気にしません」
「…………」
「その……い、以上です」
立ちあがって、離れていこうとする。あっ……
「ソースケさんっ」
きゅっ。
つい手をつかんでしまう。あ、えと……
「……テッサ?」
「あ、あの、その……」
なんとなく恥かしくなって、顔をうつむかせてしまう。え、えと……
「……あ、ありがとう、ございます。……そう、言ってくれて」
「……本音を言ったまでです」
ソースケさんの手がそっと頬に触れる。ゆっくりと顔が近づいてきて……
「ぁ……」
わたしはそっと瞳を閉じた。
……え、その後ですか?
ふふ……秘密です。まあ、かなめさんに見つかってかなめさんが怒っちゃったのは失敗でしたけどね♪
続く
後書きっていう物体
ども、東方不敗です。
これで第五話ですね。今回も『恋の協奏曲』と同じ位になるんじゃないかと。もしかしたら、もうちょっと短くなるかもしれないけど。にしても、なんかできが……うー。
とりあえず、またお会いしましょう。東方不敗でしたー。