宗介とソースケ 第2話 by 祀汰ユーの助(みかど)
―――――― 宗介が任務に出かけてから三日後。その日もかなめは一人いつもの駅へ向かう路を歩いていた。
今日は別になんら物思いにふけることなく、昨日歌番組で聞いたとあるグループの新曲を口ずさみながら軽快に路を歩いてイた。
「世界に一つだけのーはぁなぁ♪」
いい歌詞だなあ。そう思いながら、ちょうどサビの部分にさしかかったころ、かなめの耳にその名前は飛び込んできた。
「ソースケ!」
え・・・・・・?
いまソースケって・・・・・。
・・・・・・・・・いや、まさか。昨日と同じ空耳だ。
自分の知ってる「宗介」は一昨日から任務とやらで少なくとも日本にはいない。この近くにいるはずがないのだ。それにいたとしたら自分のところに連絡があるし、今ごろ一緒に登校している。
「空耳よ空耳」
と、また歌の続きを口ずさもうとするかが・・・・・
「ソースケ!ソースケ!」
かなめの足がびたりと止まる。
「・・・・・・・」
空耳じゃない。確かに聞こえる、ソースケの名前。それも聞こえてくる声は女性の声。それもなにか慌てている様子。
「まさか・・・・・・・」
昨日と同じように自分の頭に言い聞かせる。
「そうよ、この日本にそーすけさんなんて一体何人、いえ何百人いると思ってるのよ。他人よ他人」
だが、そんなかなめの頭の中にまた、さっきと同じソースケの名前がまた響く。
「まさか・・・・・まさかよね・・・・・」
かなめはぴたりと止まり、考え込むように自分の足先を見つめた。すると、どういうわけか頭の中に勝手に映像が浮んで来た。
それもかなりリアルに・・・・・
『あなたはとある組織に狙われています。自分はその護衛にきました』
何故か学ラン姿の宗介がキリっとした表情(小さな星が目の回りに飛びまわっている)で浮びあがる。そしてその前にはピンクのフリフリドレス(今時一般人は誰もきないであろうパフスリーブ)を着た黒髪の美女が立っている。
『そんな、私のために命を捧げてくれるというのソースケ』
『もちろんです。自分はあなたを護るためならなんだってします』
『でもあなたには他の人が・・・・』
『そんな事関係ありません。今はあなたを護ることが自分の任務なのです』
『ソースケ・・・・』
『花子さん・・・・(仮)』
そう言って抱き合う二人。身体と身体が重なりあい、顔が近づき、そして口唇が・・・・・・
と、いうところで、かなめの想像(妄想)は止まる。
「だめよー!!」
かなめは叫ぶと、せっかくセットして来た髪をかき乱し、鼻息を荒くした。どうやら最近、宗介の妄想癖(?)がかなめにも移ったようだ。
だがその妄想も先日の宗介の態度がおかしかったせいもある。
何かを隠したそぶりの宗介。もしかしたらそれは『女性がらみ、それも艦長がらみ』なのではないのかと、心のほんの片隅でかなめは思っていたのだ。そして今、もう一つ思いついた。
任務とは遠地なのではなく、実は自分の近くで行われている、のではないかと・・・・・。
「ありえる、あいつら(ミスリル)なら十分ありえる!」
任務なんて自分とはまったく関係ない、そう思っていたのは遥か前。自分の命が狙われてからというもの、「任務」と「戦場」という言葉が随分と身近に感じられるようになったのだ。
おまけに宗介のいる組織はやたらと「秘密」が好きなようでもあるし・・・・・・・。だが、今のはあくまでも自分の想像。真相を確かめなくては。
「よし!」
かなめはそう思うと、一度息を深く吐くと、またいっきに吸いこむ。そして気合を入れて辺りを見まわした。
そんなかなめに答えるかのように、またその声がかなめの耳に響いてくる。
「ソースケ!ソースケ!」
「こっちだわ!」
それは駅へ向かう道の途中にある小さな公園の方向。かなめはその公園に向かうため、少しそれた小道へと駈け込んだ。
「まってなさいソースケ!」
いや、別にそこに宗介がいると言う訳ではない。ただそこに『ソースケ』がいることは確かなのだ。
走るかなめ、するとすぐにその公園が見えてきた。そしてその声は公園の墨のトイレの裏から聞こえてくる。それもはっきりと。
「ソースケ!ちょっとソースケ!!」
だが、その声はさっきとは違い、どこか悲鳴染みていた。「もしかして、襲われている・・・・?」考えすぎかもしれないが、確かに声の持ち主は確かに女性。もしかしたら大変な事件に巻き込まれているのかもしれない。
そう思ったかなめは、トイレ裏に走った。
そして・・・・・・!
「ソースケ!」
今度はかなめがその名前を叫ぶ。
そしてかなめが見たものは――――――
「ワン!」
つづく
あとがき
いかがでしょうか、『宗介とソースケ』の第二話でした。なんというかやっとストーリーが進み出したという感じなんですが・・・・。あはは、でも文は相変わらずグチャグチャです(汗) おまけにまだ続いてるし。ストーリーも無理なところがたくさんありますし・・・・(汗)そこはどうぞ読まれた方の寛大なお心でお許し下さい!
さて、とうとう出てきました「ソースケ」。たぶん最後のセリフでだいたい分かったと思いますが、次回正体がはっきりします。そして、やっと本物の宗介もでてきます!ですので、次回もどうぞ読んでやってください♪ ありがとうございました。
祀汰 ユーの助 (みかど)