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2014.02.20 10:44

宗介復讐計画 第5話 by ドイワー

夜、それは闇と静寂が支配する世界である。
そしてそれらは夜が深まれば深まるほど比例し、その凄みを増す。
その夜の世界に二人の男がいる。
一人は鉢巻をして、ずしずしとした歩調で歩いている。
その男の後ろについてきているのは無愛想な表情できびきびと規則正しい歩調で歩く男。
椿一成と相良宗介の二人だった。
正反対な歩調の二人だがその二人に共通している点、それはお互いが凄まじい闘志と殺気を放っている、という事だ。
「椿、何所まで行くつもりだ?」
「もう少しだ。黙ってついて来い」
「そうか」
会話は発展しない。まず互いに話そうとも思わない。ところが椿が若干ためらいがちに
「相良・・前みたいな凶器は使うなよ」
「フ・・俺も前回の時に素手で戦う、という者達の気持ちを多少は心得たつもりだ。安心しろ」
「そうか・・・よし、ここだ」
「そうか・・・む・・?ここは・・・」
そこは公園だった。しかし少々他の場所とは異なりそこら中の地面には大穴が開きほとんどの物が壊れている。公園というよりも広場等言った方が適切だろう。
「ん?どうした相良、なんか問題でもあるのか?」
「いや・・・昔ここで少しあってな・・」
そういうと宗介は遠い目で空を見た。どこか悲しい過去を思い出したかのような目で。
「むぅ・・・まぁいい。さぁ、ココなら思う存分戦えるだろう。かかって来い、相良ぁ!!」
「うむ。では行かせてもらう・・!」
そう言うと両者は違った構えでお互いを向き合った。
「得意の無構えはどうした?」
宗介が微笑しながら言う。
「フ・・貴様ごときには必要ない、という事だ」
椿が微笑して答える。そして若干の間の後に・・・両者同時に前に飛び出した!
「はあぁ!!」
「てあぁ!!」
お互いの拳と拳がぶつかりあう!そしてお互い後ろにとび間を取った。
「フ・・・椿よ、貴様の拳はこの程度なのか?(予想以上にダメージが大きいな・・・)」
「相良・・・貴様も所詮口先男だったようだな(こいつ・・・以前よりパワーアップしているのか・・?)」
そしてまたもお互い間を撮りながら牽制し合う形になった。
「どうした相良、仕掛けないならば・・・こちらから行くぜ!!」
椿はそういうと同時に前に突っ込み宗介の腹にパンチを繰り出した!
「攻めが単調だな。甘い・・!?」
宗介は左手で弾いた。しかしそれと同時に椿の蹴りが宗介の右足にヒットしていた。
(まずい・・バランスが・・)
宗介は右足から崩れ落ちるようにその場に膝を落とした。当然椿はその隙を見逃さない。
「くらえ!」
椿は追い討ちをかけ宗介に蹴りを加える。あたれば間違いなく顔面コースだ。しかし宗介も伊達に今まで死線を越えてきたわけではない。その足を両手で受け止め、いっきに押し返し間合いを取った。
「少しは出来るようだな椿」
「今のが俺の本気だとは思っていいまいな?俺の本当の流儀は拳だ。蹴りなどでは勝負はつけん」
「そうか・・・ならば俺は・・」
宗介はスライディングの形で足払いをかけにいった!
「足払いなどが俺に効くと思うな!」
椿はその場にジャンプをし、宗介の足払いをよけた。足払い、は。
「がっ・・!?」
次の瞬間宗介は両手で体を支え両足をそろえ空中の椿の腹めがけてけ蹴りを放っていた。椿が吹っ飛ばされる。
「く・・・やはり相良・・・貴様には全力を尽くさねばならんらしいな・・・」
「肯定だ。かかってこい」
「そうか・・では、俺の全力を尽くさせてもらう・・!」
そういうと椿は構えを変え、宗介との間合いを一気に詰めた!!
「喰らえ・・新・奥義、千手阿修羅斬!!」
「な、なに!?」
気がつけば宗介は吹っ飛ばされていた。ガードしたにもかかわらず。
「く・・・まさか・・今、椿の手が・・!?」
宗介を吹っ飛ばし、隙を見せずに構える椿が口を開いた。
「今のが俺の新・奥義、『千手阿修羅斬』だ。かつて貴様に食らわした『血栓掌』の威力を指先にのみ集中させそれを連続で放つものだ。スピード、威力共に以前の『血栓掌』の比ではない!つまり貴様に勝機はないということだ、相良!!」
椿が言い放つと宗介は笑い出した。
「椿、やはり貴様は二流だ。俺に止めを刺さないどころか自らの技の詳細も暴露した・・・戦士としては全くの二流だな」
「く・・・ど、どうとでも言うがいい!」
「その証拠に貴様の奥義も見切れた。かかって来い」
宗介は右手の指で椿を挑発しながら言った。
「く・・見切れただと!?だったら・・やってみろ相良!!」
椿が一気に間合いを詰める!
「喰らえ千手阿修羅斬!!」
椿が一気に宗介に技を放った。その瞬間椿の腕が「ぶわっ」と広がるように残像を見せていった。そしてそれが宗助に・・・当たらなかった。なんと宗介はすべて紙一重でかわしているのだ!!
「な・・バ、馬鹿な!?」
驚きの表情を見せる椿。そのため一瞬椿の連打が弱まった。
「は!」
それを見逃さず宗介が椿にパンチを放つ。
「ぐお・・・」
椿は声を漏らしながらも相良との間合いを広げる。
「バ、馬鹿な・・・!?なぜだ・・何故効かない!!」
椿はもう一度踏み込み宗介に同じ技を放った。
(『指先に力を集中させ連続で放つ』・・・つまり威力は高まったもののその攻撃範囲が掌から指先に小さくなったわけだ。そして連続で・・・いかに速く放とうが所詮は二本の腕の連続技・・・ASのパイロットの動体視力や集中力を備え持つ俺ならばかわすなどたやすいということだ・・・)
宗介は一瞬の隙をつき椿の腹にさらにパンチを加えた。
「ぐ・・ぐお・・・」
椿は力なくその場に崩れ落ちた・・・
「椿、残念だったな。お前が戦士として一流の心構えがあればあるいは、だったかもしれん」
「さが・・・ら・・・」
椿はその言葉を最後に気絶したらしく喋らなくなった。

次の日、宗介の机にかなめと宗介がいた。
「で?椿君と死闘を演じ私のことなんか忘れてそのまま帰ったと?」
「すまない・・・重大なミスだった・・・」
「ミスリル本部にばれたらとんでもないことになるでしょうね~」
「その・・・肯定だ」
「ふふ・・・まぁいいわよところで椿君は?」
「さぁ・・・知らん」
その瞬間かなめのハリセンが顔面にヒットした!!
「な・・千鳥、なにを・・」
「馬鹿かアンタは!?殴って気絶させてそのまんま!?訴えられるぞ!!」
「仕掛けてきたのは椿だ。非は相手にあ・・」
「黙りなさい。あんたが悪い。OK?」
「・・・了解した・・・む?あれは椿か?」
「え、あ、ほんとだ・・・ああ、結構疲れてそうね・・・」
「まぁ無事で何より、というところか」
「そういうこと」
その後、常盤や稲葉、オノDを交えて雑談は続いていった。一方椿はどうしたかというと、あの部屋。
「負けた・・・負けた・・・」
「まったく最近の若造は情けない・・・」
№1がため息をつきながら言う。
「やはりワシが直々に制裁を加えるか・・・本来ならばお前にも加えたいのだが今は同士じゃからな」
「奴は強いぞ・・・」
「フン、以前お前と二人がかりでなんとか引き分けに持ち込めた程度じゃろうが。一対一ならばこの№1・・・」
お約束どおりマスクとマントが宙を舞う。
「大貫善治の足元にも及ばぬわ!!」
「しかし校内で勝負を仕掛けるのか?今の地位を失うぞ?」
「ふん・・・勝負は夜じゃ。闇じゃ。ミッドナイトじゃあ!!」
意味不明なテンションを上げながら大貫は外に出て行った。
「さすがの相良も・・・終わりか」
椿はどこか悔しそうにため息をついた。
(ふーん・・・こんな事が起こってたんだ・・・)
その部屋の壁越しに一人の女子生徒が腕組みをしながら立っていた。
(さてさて・・・私はどーしっよかなぁ・・・)
その少女、常盤恭子は嬉しそうに廊下をかけていった。

続く!!


あとがき

宗介VS椿終結。そして最後の№、大貫善治に、そしてなぜか常盤が!
って予告みたいになってきましたが・・・今回は戦闘シーンの表現に
難があったかなぁ、と(他の部分も含め)
とりあえず後3回くらいで終わりです。最後まで見てやってください。
最後にコレで少しでも面白いと思う人がいることを祈ってる事をココに記します。

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