宗介復讐計画 第7話 by ドイワー
輝く太陽。程よい量の雲。そして涼やかな風。まさに最高の天候。そして校庭には生徒が並ぶ。そんな陣代高校では一つのイベントが起きていた。
「えー・・・マイクのテスト~・・・あ、あ、・・・只今より、ドッチボール大会を開催いたします!!」
副会長、千鳥かなめの大きな声がマイクでさらに大きくなり校庭に響き渡った。今日は陣代高校の体育祭のようなものの『ドッチボール大会』の開催日であった。
「尚、今回はクラス別、好きな人どおし、誰でもありの3つに別れています~優勝すればすばらしい賞品がもらえるので皆さん張り切ってくださいね」
その声を聞くと皆いっせいに大声を上げた。特に何故か男子生徒が。どうやら何か勘違いをしているらしい。
「いっよおおおっし!!かんばるぞオレは!!・・・って相良どうした?」
ひときわ大きな声を上げていた男、小野寺ことオノDが怪訝な表情の男、相良宗介に話しかけた。
「いや・・・俺はどうもこういったものが苦手でな・・・・『ドッチボール』とは何だ?」
思わずオノDは口をあんぐりと開ける。まさかこの年になってドッチボールを知らない奴がいるとは・・・
「えっと・・・そうだな・・・簡単に言えば『球』を敵に当てて倒せばいいってゲームよ」
「なるほど。『弾』を敵に当てて倒すのだな。ならば俺の得意分野だ」
「ん・・・何かお前勘違いしてないか・・・?」
「否定だ。もう理解した」
「あっそ・・・まぁガンバレや。ところでお前はクラス別以外は何に出るんだ?」
その質問に対し宗介は若干表情を曇らせる。
「む・・むぅ・・・それが・・・」
「はぁ?決まってない?」
「肯定だ」
「いや・・・威張るなよ・・じゃあさ、俺と一緒に個人で」
オノDが言いかけたとき後ろから声が聞こえた。
「ダメだよオノD!相良君は誰でもありに出るんだから!」
「んな・・・常盤・・・」
「常盤?しかし俺は・・」
宗介の声を遮り常盤は宗介の耳元でささやく。
(いいから黙ってついてきて!)
(む・・・了解した)
「おい、さっきから何喋ってんだ?」
「気にするな。それよりも俺は誰でもありとやらに出る。悪いな」
「あ、そう・・・じゃあ・・ガンバレよ」
そう言うとオノDは何処かへといってしまった。この時なにやら背中が小さく見えた。
「オノD・・・ごめんね」
「ん?何か言ったか常盤?」
常盤がなにやら申し訳なさそうな顔をしているところに宗介が尋ねた。
「え?い、いや、なんでもないよ。それよりチーム集めなきゃ!確か6人だから!」
「ふむ・・・今のところは俺と常盤だけの二人か?」
「まぁ、そういうことだね。じゃ、探しに行こうか。あと2時間で始まっちゃうし」
「了解した。こう言う場合は二手に分かれよう。30分後に又ココで合流だ」
「了解!」
常盤はぴしっ!と敬礼をするとくるっと後ろを向いて走り出していった。宗介も常盤とは反対方向へと走り出していった。
一方こちらは大貫さん。
「風間君、ワシと一緒にドッチボール出んかの?」
まず仲間集めに声をかけたのは風間だった。なにより・・・気が弱そうだ。
「えぇ・・・って言うかなんで僕なんですか?」
「それはな・・・ごにょごにょ・・・」
大貫は風間にすべての事をぶちまけた。ついでにお前も共犯だ、という言葉を付け加え。
「うう・・・分かりました・・・参加します・・・」
「ありがとうよ。じゃあ君は稲葉君を連れてきてくれ。ワシは阿久津君と椿を呼んでくる」
それからしばらくして・・・落ち込む二人の姿があった。
「誰がお前のいうこと聞くかっていわれて・・・追い返されました・・・しかも阿久津さんの仲間に殴られたし・・・」
「ドッチボールなんかで勝負を付けられるか!・・・などと抜かしおって・・・」
どうやら二人とも一人もつれて来れなかったらしい。
「大貫さん・・・どうするんですか・・・?」
「しょうがない・・・最後の手段を使うか・・・」
「え?」
「風間君。林水君に頼んできてくれ」
「・・・え?」
3分後。かなめの声が校庭に響く。
「え~次の呼ばれる方はテント前まで来てください。椿一成君、稲葉瑞樹さん、阿久津万理さん。もう一度繰り返します・・・」
「大貫さん・・・これは・・・・」
「最後の手段じゃ」
しばらく待つと今しがた呼ばれた3人が集まった。
「おい!これは一体どういうことだ!!」
「そうよ!放送で呼び出すなんて!!」
「やる事あるならさっさと終してもらいたいね!!」
三者三様の起こり方で大貫に詰め寄る椿達。それに対し大貫は手でちょいちょいという感じの動きで3人を近くに呼んだ。
(いいか・・・これはチャンスじゃぞ?あの相良を正式な場で倒す・・・)
(だぁかぁら、俺はこんな下らんもので勝負をつける気はない!)
(まぁ聞け。実はわしたちの行動があるものにばれているのじゃ)
(はぁ!?ウソでしょ!?)
(ほんとじゃこれが公の場に出たらワシらはしばらく白い目で見られることになる)
(な、なにか手はないのか!?)
(このドッチボールに出る事じゃ)
大貫の言葉に思わず3人とも言葉に詰まる。しかしそんな中椿がこういった。
(・・・わかった。やろう)
(おお、本当か!)
(ああ・・・今回だけだがな。お前ら二人はどうする?)
椿にたずねられ稲葉も阿久津も顔を向け合った。そして意を決したようにこういった。
(わかったわ)
(出ればいいんでしょ?でれば・・・)
「よし!ここにチーム完成じゃ!」
大貫が喜びの表情で言った。それに続き他の3人も手を上げた。しかしそこへ風間がたずねる。
「でも大貫さん。チームは確か六人構成ですよ?僕を入れても5人じゃ・・・」
「あ・・・」
思わず一同その場に固まった。気のせいか冷たい風が吹いたような気がした。
その頃宗介は仲間を探していた。しかし一向に見つからない。なにせ「弾」をぶつけ合う競技だ。それなりの人物でなければ・・・
(いかんな・・・どいつも使えん・・・・)
一向にはかどらない仲間集めにあせりを感じ始めてきた。そして結局誰も連れて来れないまま30分たちもとの場所へと戻っていった。
「あ、相良君、見つかった?」
「いや・・・すまない。見つからなかった。常盤はどうだ?」
申し訳なさそうにも宗介は尋ねた。
「あたし?あたしは二人連れてきたよ。カナちゃんとオノD」
「ちょっと恭子!・・・もう!」
「相良・・・待たせたな!」
「千鳥・・・オノDはまだ良いとして・・・君がやるのは危険だ」
「え・・?」
「チョット待て・・・その扱いひどくないか?」
何かを言いたげなオノDを尻目に宗介はさらにかなめに喋り続けた。
「千鳥。君が参加したいという君とは分かる。しかしこれから行われるのは戦いだ。みすみす君を危険にさらすわけにはいかない」
「え・・・そ、ソースケ・・・・」
(おお・・・これはもしかして・・イイムードかぁ・・・?)
呆然とするかなめを見て喜ぶ常盤。しかしそれも終わりを告げる。
「千鳥、この戦いは激しく弾がぶつかり合う種目だ。君は実戦経験がないとは言い切れんがここはまかせろ」
「・・・・弾?」
「そうだ。弾の種類についてはまだ聞いていないが・・・壮絶な戦いになることは目に見えている。よって・・・」
すぱん!
そこまで言ったときについにハリセンが振り下ろされた。
「・・・何をする?」
「どうやらアタシが馬鹿だったらしいわね。いい?ドッチボールはもっと健全なゲームよ」
「健全?しかし弾が・・・」
「弾じゃない!!球!!」
「・・・球?」
かなめは右手でボールを拾い上げた。
「これよこれ!!これをぶつけ合うの!!」
「・・・?しかしこれに殺傷能力があると思えないが・・・」
すぱん!
またもハリセンが唸る。
「いい!!よく聞きなさい!!」
その後10分の説明により宗介は真のドッチボール(普通のルール)を理解できた。
「なるほど。理解した。しかしその説明によれば必須人数が6人とのことらしいが・・・」
それを聞くとかなめは考える人のポーズをしながら語りだした。
「そうよね・・・私に恭子、オノD宗介・・・あと二人か」
「ねぇねぇカナちゃん。これって確か生徒以外の人も参加OKなんだよね?」
「え?まぁそうだけど・・・」
「誰かいない?これそうな人」
「そうだよ千鳥。お前結構顔広いだろ」
オノDも常盤の意見に同調する。それを聞かれかなめは少々考え込み・・・
「やってみるわ。出来るかは別だけど・・・あ、そうだ。ソースケはボン太君になっといてね」
「む・・・了解した」
謎の言葉を放ちかなめは携帯を取り出し電話をし始めた。そして10分後。宗介が持ってきていたボン太君になったとほぼ同時に陣代高校に一台のパトカーが来た。
「あ、こっちです~~~」
かなめが大きく手を振る。するとパトカーから一人の女性が出てきた。
「かなめちゃん、ドッチボールですって!?面白そうね!私も入れてよ!」
出てきた女性、それは宗介にとっては敵、若菜陽子であった。それを見て宗介・・・もといボン太君は思わず後ずさりをする。
「ん?あらあら・・あなたは優秀な友達の・・・あなたがいれば百人力ね!」
「ふもっふ」
若菜はガッツポーズを送る。どうやら全く気づいていないらしい。
(こういうことだったのか・・・)
「姉さん、アンタが五人目だな!よろしくな!」
「宜しくね、お姉さん。で、かなちゃん、あとひとりは?」
「ん・・・もう少しで来るはずだけど・・・」
「あ・・・誰か来たみたい・・・ってええ!?」
「あれが6人目!?」
「って言うか誰?」
「ふもふもふもふも・・・ふっふふふ!?(何故あの人が!?)」
「待たせたわね。アタシがいればOKよ」
一方ココは大貫陣地。いまだに6人目が決まっていなかった。
「おい!一体どうする気だ!!」
椿が暴れる。暴れる。それを風間が抑えるが跳ねのけされる。
「落ち着かんか!・・・今考えておる・・!」
「どうするのよ・・・6人目がいなかったら・・・」
「まぁいざとなったらあたしの子分一人捕まえてもて来るけど」
もはや統率力0。このままでは6人目が名も無き子分と悲しい結果になりそうなそのときだった。
「ねぇねぇ、じゃあ僕入ってもいい?」
その瞬間5人は全員その声の持ち主の方を振り向いた。
・・・続く!!
あとがき
中途半端でスイマセン。決して誰を出すか考えてないとかそんな事じゃないです。ホントです。
次回でなんとかカタを付けたいです。両チームいまだに6人目不明。例によりとんでもない奴らです(笑)
っていうか若菜陽子覚えてますか?ぽに男と戦ったときの婦警です。まぁとにかく続きますので。
最後にこれで一人でも楽しめますように願う事を・・・記します。