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2014.02.20 10:45

宗介復讐計画 第8話 by ドイワー

眩しいばかりの太陽。まさにスポーツ日和という言葉が似合う日であろう。陣代高校では現在『ドッチボール大会』が行われており、どのクラスのものも汗を流し楽しんでいる。そう、まさに太陽のようにまぶしく輝いている。しかしこの世は所詮光があれば闇がある世界。皆が楽しむ中、どんよりムードの連中もいるのである。ついさっきまでの大貫達がそうだった。6人目の勇者(?)が見つからず右往左往していたのである。しかし、そこに一人の男が名乗り出た。いや・・・少年というべきか。
「な・・・ヨ、ヨシキ!?」
阿久津万里が叫ぶ。その勇者とは阿久津万里の弟、阿久津芳樹だった。バンダナを巻いて手には手袋、そして動きやすい半袖半ズボン。明らかにスポーツモードだった。ちなみに万里以外の連中は『ダメだこりゃ・・・』とか『ガキだと・・・?』とかぼそぼそ言い合っている。
「いやさぁ、今日は学校が特別日課ですぐ終わっちゃってさ、んで暇だったから来てみたら・・・こんな面白いことやってんじゃん。ずるいよ姉ちゃん、教えてくれないなんて」
「いやなぁ!?お前小学生だろ!?こっちは高校生のしかも男だぞ!?当たったら痛いじゃ済まされないかもしれないんだぞ!?っていうかなんでお前これに参加できるの知ってるんだ?」
確かに正論であった。本来教えてないはずなのだからこの競技が参加誰でもOKとは知らないはず。しかし芳樹は当たり前のように答えた。
「相良さんに教えてもらったんだよ」
その瞬間、大貫グループ全員の動きが止まった。まるで親の敵にあった、などと言われて者のように。
「あ・い・つ・め~~~・・・!!」
「相良・・・何所まで邪魔を・・・!」
椿は芳樹のことを戦力と認めておらずに怒りをむき出しにしていた。万理に限っては露骨なほどに。
「でもさぁ、別にいいんじゃない?他にいないんだし」
ため息をつきながら言ったのは瑞樹だった。
「な、何いってんだお前!?芳樹はまだ小学生だぞ!?」
万理がものすごい剣幕で抗議する。どうやら弟がらみでは通常よりも1,5倍ほどパワーアップするらしい。
「いや・・・だが小学生とは言え貴様の弟だ。そこの眼鏡よりはマシかもしれん」
「あんたも眼鏡でしょうが・・・」
「・・・言うな」
椿が風間を指差しながら言うと瑞樹に突っ込まれた。だが当然万理はこの程度ではくさがらない。
「何言ってんの!?大体アタシの弟だからって何!?あたしの腕っ節が強いっての!?」
それに対し椿は当然のようにこう答えた。
「だがな、貴様は確か大導脈流を会得していたはずだ」
それを聞くと万里はぎくっと文字が出そうに体を震わせた。
「俺もそれは習得しているので分かるが・・・女である貴様が会得した。そしてその弟とくれば強いが相場だろう」
椿が言い切ると万里が言う前に待ってましたといわんばかりに芳樹が口を挟んだ。
「そうだよ!俺だって強いんだぜ?だから入れてよ。ね?ね?」
「芳樹・・・そこまで言うなら・・・」
「決定だな」
「やったぁ!!」
こうして大貫チーム、チーム名『ザ・リベンジャーズ』は6人目の戦士を迎え入れた。ちなみにその時瑞樹がこのようなことを尋ねていた。
「一成君・・・なんで万里が大導脈を習得してるって知ってたの・・?」
「言うな」
 
 一方こちらはそのリベンジャーズが敵としている人物のいる宗介陣地。最も今はボン太君だが。
「っていうか・・・思わず驚いちゃったけど・・・何やってるんですか?」
かなめがさりげなく尋ねる。そうするとその女性、神楽坂恵里は淡々と答えた。
「だって暇なんだもん」
「な・・・」
思わずかなめも含め若菜以外が絶句する。
「あのー・・・かなめちゃん?そちらの方は・・・」
「え?あ、ああ・・若菜さんは知りませんでしたね。こちらの人が私たちの担任の神楽坂先生です」
かなめが紹介すると恵里はぺこっと頭を下げる。
「ははぁ・・・先生でしたか。あっと、アタシは婦警やってる若菜陽子と申します・・今後共に宜しく」
そういうと若菜は手を伸ばす。恵里はそれを取りがっちり握手する。そうした後に恵里がとある疑問を持ったらしくかなめに尋ねた。
「ところで・・・なんで婦警さんとお知り合いなの?それに相良君は?絶対こういうのに参加しそうなのに・・・それにそのボン太君は?」
それを聞くとかなめとボン太君(宗介)がびくっとする。まさに聞かれたくない質問だったからだ。
「えっと・・・ですね、若菜さんとは以前でた痴漢退治のときに知り合いまして、ボン太君は私の友達です。本人の希望で顔と声は分からなくさせてますが・・・宗介は・・・その・・・」
「ふむふむ・・・で、相良君は?」
一通り納得するとさらに恵里は追及する。かなめは意を決してこう言った。
「さ、SARSにかかりました!!」
それを聞いた途端思わず皆ぶっと吹き出す。恵里と陽子は事情を知らないのでまだしも常盤とオノDは今の今まで宗介いた。驚くのも無理はない。
(か、カナちゃん・・・今のって・・・)
(おいおい・・・は、早く病院へ・・!)
(嘘よ、ウソ!って言うかなんであんたらまで騙されんの!?)
ぼそぼそ言い合うかなめたちに恵里は話しかけた。
「あ、あの・・・それで相良君は・・?」
「え?あ、あぁ大丈夫ですよ。多分注射一本で直りますって」
「そうかしら・・・」
「大丈夫ですって。じゃなきゃ今まで生き残って来れてませんから」
「そう・・・そうよね」
「あ、あの~ちょっといい?」
二人が話しているところに若菜が入り込んだ。
「さっきから言ってる”相良君”・・・って誰?」
「え?あぁ、それはこういう・・」
恵里はそういいながら上着のポケットから何かを取り出すしぐさを始めた。とっさにかなめとボン太君は飛びついてそれを制止させる。
「・・・どうしたの?」
「え!?あ、い、いや・・・その・・・」
かなめはさらに近づき小声で続ける。
「相手は婦警さんですよ・・・ソースケのことなんか言ったりしちゃダメですって・・・!」
「そ、それもそうよね・・・」
「ねね・・何はなしてるの?」
怪しい会話をする二人を疑いの眼で若菜は見つめていた。
「そーすけって?それに今なんでボン太君まで動いたの?」
それを聞くとボン太君はびくっと飛び跳ねる。
「怪しい・・・妖しい・・・」
若菜がボン太君とかなめを交互に見つめる。見な息を飲み込みしずかに見守る。そして若干の間の後に若菜がこういった。
「やっぱ気のせいよね。あはは・・・」
皆、おもわずぶっこけた。しかしなにわともあれここにも6人の勇士が集まりチーム名は『クラスの皆と+1』に決定した。尚、このチーム名は若菜にのみ伝えられる事はなかった。

「ふむ・・・なるほど・・・」
役員テント内で二枚の紙を見つめながら現生徒会長、林水敦信は言った。その前にはテーブルを挟み大貫と神楽坂が立っていた。
「まず大貫さんのチームですが・・風間信二、阿久津万里、芳樹、稲葉瑞樹、椿一成、大貫善治。この6人で?」
「うむ」
「そして神楽坂先生の方は・・小野寺孝太郎、常盤恭子、若菜陽子、千鳥かなめ、ボン太君、神楽坂恵里、で?」
「え、ええ。それで、ボン太君ってのは・・」
ありはなにやら心配そうに言う。確かに名簿の部分にボン太君と書くのは気が引けたが本人が匿名希望とあっては仕方がない。そのまんまにボン太君と書いてあった。
「それならば大丈夫ですよ。私とて匿名希望者の名前を無用に聞き出すことを強要したりはしません。無論そのものが絡み何らかの事件が起こった場合は強要しますが」
恵里はこの時心の中で「本当に高校生・・?」と語っていた。その時横から大貫が首を出した。
「あの、神楽坂先生。相良君は・・?」
「え?彼はチョット・・・体調不良らしく・・・」
そういうと大貫はまるで雷に打たれたような表情をした。その後とぼとぼと戻っていった。恵里は訳が分からずその場に残された。
(私、なんか変なこと言ったかしら・・・?)

「なにぃ!?相良が出ない!?」
椿一成の声が響いた。
「ちょっと待て!それでは何か!?俺たちは何しにこれに出るんだ!?」
「待て、話を・・」
「相良を出せ!!相良を相良を・・!!」
椿の声がドンドン高まっていく。しかし声は反比例し悲しげな声になってきていた。
「一成君・・・やっぱり相良の事が・・・」
「ちっがあうう!!」
椿が大声で否定する。どうやら瑞樹はいまだに『宗介×一成疑惑』を信じているらしい。
「しかし実際どうするのさ?相良が出ないとは・・・」
「そうだよね・・・どうするの?」
万里が問いを出し風間がそれに続いた。
「そうだな・・・やはり相良が出ないのであれば・・」
そこまで椿が言いかけたときだった。突然風間が指を指した。
「・・どうした風間?」
「あ、あれ・・・」
風間の指先の向こうにはボン太君がいた。至って普通に。
「・・・まさかあれが向こうのメンバーなのか?」
「そういえば・・・表の中にもおったのう・・・」
「帰る!!」
椿がもはや我慢できんといった感じで歩き出すと風間が必死で止めた。
「離せ!相良がいない上にあんなわけの分からん着ぐるみと戦わねばならんなど俺には我慢できん!!離せ!!」
「ま、まって椿君・・・あ、あれは多分相良君っだよ・・・!」
「な、なに・・?」
思わず椿の足が止まる。他の者達もだ。
「前に合コンに行ったとき・・・あの格好だった」
「本当だな?」
「うん」
その瞬間、椿や他の者達に闘志がみなぎった!!
「よし・・・相良・・覚悟しろ・・・!」
「今日こそ恨み・・晴らさせてもらうよぉ・・・」
「ふふふ・・・私の魔球でやっつけてやるわ・・・」
「相良君・・・たまにはいいよね」
「サガラさん、楽しませてもらうよ」
「つぼ・・つぼ・・・お前も同じ運命にしてやるわ・・・」
この時、『ザ・リベンジャーズ』の心は一つになった!!
「これより、参加者制限無しのドッチボールを始めます。『ザ・リベンジャーズ』と『クラスの皆と+1』の皆さんはコートに集まってください」
千鳥不在のためかわりに美樹原が放送をした。その時に若菜がチーム名に文句をいったことは言うまでもない。かくして、ついに戦いの火蓋は切って落とされたのであった!

まだ続く・・!!


あとがき

スイマセン、また始まりませんでした・・・次が最終回(のはず)なので終わりになります。
リベンジャーズが勝つか・・・+1が勝つか・・・予想してください。多分・・外れます(殴
という事で長かったシリーズ(?)終わり直前、読んでくださった方はありがとうございました。
最後に、これで誰か一人でも楽しめますように・・・っと。記しました。

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