F-site

2014.02.20 10:46

真夏のおもひで? 第2話 byグロ

 千鳥達は案内された部屋でのんびりしていた。机の上にあるお茶を入れようとしたところで、
 タラリラリ~♪
 きれいな着メロが流れた……
「あ、携帯鳴ってる。」
 千鳥は携帯電話を取った。
「は~い、もしも~し。」
『もしもし?かなちゃん?』
「ああ、キョーコ、どうしたの?」
 同級生の常盤恭子だ。いったい何の用なのだろう?
『一体今どこにいるの?暇だったら一緒に買い物しに行かない?』
「いや、それ無理。」
『何で?』
「今、生徒会の用事で旅館にいるから…」
『ふーん、そうか、で、誰かと一緒に行ってるの?』
「いや…」
 宗介と一緒にいるなんて言ったらどうなることやら……うん、言わないでおこう。
『もしかして、相良君と行ってたりする?』
 ぎくっ!!!!もう恭子の読みは完全にどんぴしゃだった。
「そ、そうだよ、うはははは……」
 お得意のバレバレな(本人は気づいていなかったりする…)ごまかしをした。しかし、恭子はその一言で一緒にいると確信し、
『ふ~~~~ん。分かった。まあ相良君と仲良くなれるようがんばってね、か~なちゃん、じゃあね~。』
 と、かなり白々しく答えた。
「ちょ、恭…」
 プチッ、ぷーぷーぷー。……き、切られた。
「もう!なによ!あの言い方、ほんとに……」
 何だかんだ言って、実際のところ宗介の事は好きだ。しかし自分はそれを素直に認められない。そんな自分が少し悔しく思えた……
 そんな事を考えている時に、
 ぴぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴ
 無機質な電子音が鳴った……
「むっ!?」
 宗介は”衛星電話”の画面を見た後……
「すまん、少しはずすぞ。」
 そう言った後足早にトイレの中に入っていってしまった。別にあまり気にしなっかた。少し疲れてたので、部屋で大の字になって寝転んだ。すると、トイレに入っている宗介の声が聞こえてきた。会話してから結構たっているようだ…
「…し、しかし………、今は生徒会………で、自分はセー………………には………ので………」
『………、……………………………?』
 トイレで電話をしているらしい。少し声が漏れて微妙に聞こえていた。しかし、さすがに相手の声は聞こえなっかた。一体誰と話しているのだろう?何を話しているのだろう?気にはなったが声は少ししか聞こえなっかた。その小さな声を何とか聞いてみた。
「そっ、それは……」
『…………………!…………………!』
 かなり気まずい雰囲気のようだ。相手は一体誰なのだろう?

――トイレの中(少し前の会話から)――
「…し、しかし大佐殿、今は生徒会の用事で、自分はセーフハウスの方にはいないのですが…」
『え?そんな……じゃ、じゃあ、あなたの今いる所へ直行します。場所とそこにいる理由を教えてください!』
 これは”私”の作戦ミスだった。まさか生徒会の用事でセーフハウスにいないとは……しかし、ここは押しが大事だ。
「そっ、それは……」
「教えてください!これは命令です!」
「しかし”大佐殿”…」
 上の会話はこんな感じだった。
 かなり、まずいな…。宗介は心底かなり焦っていた。もしも”テッサ”がここに来たりでもしたら…そう思うだけで脂汗がでてしまう。
 そもそもなんでいきなりテッサが電話をしてきたのだろうか?こうなった背景にはこんなことがあったのだ……

――四日前(デ・ダナン内にて)――
「ふふふ…」
 テレサ・テスタロッサは内心かなりウキウキしていた。なぜなら”一週間後”に久々の休暇が二日間取れる事になっていたからだった。その休暇中に何をしようか悩んでいるときにふと一人の人物の顔が思い浮かんだ。それは自分もよく知っている顔だった。
「…相良さん……」
 少し前から好きだったのに、この間のシージャック事件でその気持ちは見事に玉砕してしまった。が、諦めがつかなかった。またもう一度アタックすれば振り向いてくれるかもしれない。八月に入り宗介はある程度は暇なはずなのだ。その暇な時を狙ってアタックするつもりだったのだ。が、休暇が取れないので、半ば諦めていた。
 ところがいきなりチャンスが訪れた。急に昨日(五日前)、休暇がとれることになったのだ。二日間という短い期間だが、宗介と会えるチャンスができたのだ。この間にとりあえず気まずい雰囲気を無くし、普通に話せるようになる位までにはしたっかた。しかし、あの事件以来今までろくにまともな会話もしていない。グァム島の時は護衛を頼んで一緒に行ったが、会話らしい会話はあまりしてなかった。何とかしてインパクトをださなければ、なぜなら普通に行ったとしても気まずいままになってしまうかもしれないからだ。それだけは避けたい事態だった。しかしこういう事はよく分からないので、”ある人”に相談する事にした。
「で、結局私に相談しに来たと、そういう事ね…」
「はい、私こういうこと苦手で、人生の先輩、マオならこういう場合どうするのかなって、参考に聞かせてください!」
 マオはしばらく考えた後に、
「う~ん、会ったらいきなり押し倒すとか、かなりきくわよ~~。」
「そんなまね私には無理です。」
 テッサは顔を赤くして強く否定した。
「ははは、冗談よ、冗談。」
「あんまりからかわないでください。」
「ごめんごめん。まあ正直なところいきなり訪問したりしちゃえば?後はノリでなんとかなるでしょ。成すがままよ。」
「ノ、ノリですか……」
 テッサが呆れたように言い返す。しかし、こういう事には無知な自分だ。自分より人生経験豊富マオの言う事だ、信じてがんばってみよう。
「で、ですがその方法が一番良さそうですね…それで行きます。助言ありがとうございました」
 テッサはそう言った後、すぐに立ち去ってしまった。
「ちょ…あーあ、テキトーに答えちゃったのに…まあ元気づけにはなったからよしとするか……」
 なんとも無責任な発言である。ところが、そんな事など知らずにテッサは作戦決行をいまかいまかと待ち続けていた……
 ちなみにテッサの作戦とは…宗介が家にいる事を出発する前日に確認し、いきなり訪問する……とゆうものだった……

――当日(宗介との会話の続き)――
「りょ、了解しました…」
『はい、よろしくお願いします。』
 命令といえば仕方ない。宗介は観念したように答えた。
「自分は生徒会長閣下の直々の御命令で双山荘という宿泊施設に来ています。理由は今度行われる各学校の”首脳”が集まります。その”要人達”の宿泊場所の確認と確保で、今はその最中であります。」
『分かりました。ところで…それには一人で行っているんですよね?』
「………」
『どうしたんですか?ひ・と・り・な・ん・で・す・よ・ね!?』 
 なぜこんな事を聞くのだろうか?普通なら『誰と同行してるのですか?』なのになぜ『一人でいるんですか?』なのだろうか……これではまるで”俺が一人でいる事を望んでいる”ようなものではないか……などと、宗介がしばらく考えていると、
『ひ・と・りで来てるんですよね!?』 
 な、何なんだこの気迫は…。これではまるで拷問だ…。そして宗介はテッサの気迫に押され、こう言ってしまった。
「はい、そのとおりです。大佐殿。」
 と、言ってしまった。まさかこんな”ミス”をするとは…
 宗介がそういうとテッサの声のトーンがいつもの高さになり、楽しそうに言った。
『相良さん、実は明日、明後日と休暇が取れました。今日の仕事も片付いたので今からそちらへ向かおうと思っています。だいたい夜にはそちらへ着くと思います”一人”でいるんですから構わないですよね?私の休暇につきあってください!よろしくお願いします!』
 もうここまで来たら断るに断れなかった。まあ、宗介もすでに正常な判断力を失っていたが……
「分かりました。お待ちしています。」
『よかった、それでは早速そちらへ向かいます。それではまた夜に…』
「ちょ、ちょっと大佐ど……」
 プチッ、ぷーぷーぷー。……き、切られてしまった。
「まずいな。」
 宗介は絶望的な気分になりながらそうつぶやいた。テッサはまだ自分の事を諦めていないのだろうか…… 
 ドアの向こうからは千鳥がノックをして
『ソースケ?ソースケ?どうしたのちょっと電話長くない?なんかあった?』
 と叫んでいた。
「いや、大丈夫だ。問題ない。」
 トイレから出てきた宗介は脂汗をびっしりかきながらそう答えた。

 昼間だというのにカラスが宗介の終わりを告げるかのように窓の向こうの空をカーカーと鳴きながら飛んでいた………

  つづく


あとがき

 どうも!今回は二話目です。なんか電話の会話だけで終わってしまいました。なんかな~。そしてついになんとテッサ登場!はじめは出す気なかったけど友達のつよ~い要望によりむりやり(?)登場しました(嫌いな訳じゃない)。結構意外だったでしょうか?さあ次はどうなるんだろう?
ポイントは宗介と千鳥の会話を似せたとこです。

web拍手 by FC2


←back

This site is owned by Sarira as F-site - 2025 Designed by Shiro