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2014.02.20 10:58

終わりの後 第1話 by 紅夜

 変わらないと思っていた世界が。
 変わって欲しくないと願っていた世界が。
 壁が崩れるように崩壊してしまった。
 小野寺孝太郎はそう思った。

 世界が崩壊したその日の始まりは、普段と何の変わりも無かった。
 電車の時間ギリギリに起きて、駅まで猛ダッシュ。泉川駅に着いたら、近くのコンビニに行き朝メシを購入。
 そして、陣代高校に行き、相良宗介達との日常が始まると思ったのだが、その日は、相良も千鳥も常盤も休みであった。
 今思えば、それが世界の崩壊の予兆だったのかも知れない。
 いつもと同じ授業を行っている最中に、突然の放送が起きた。
『テスト、テスト。こちらは生徒会です』
 元生徒会長――林水敦信の声が、スピーカーから教室内に響き渡った。
『つい先ほど、北校舎で重大な災害が発生しました』
 その言葉で、生徒は疎か担任の神楽坂恵理の顔も暗くなった。全員の頭の中で、
(アイツだ。また、アイツが何かを起こしたんだ)
 もう、クラスメイトと言う域を越えたチームワークが、相良宗介のおかげ――なのだろうか、二年四組の中で築かれていた。
 何とも笑えない話だ。
 教室に居る全員が、席から立ち上がった。全員の眼が殺気に満ち、お互いの腹を探っているようだ。
 ガタッ。
 千鳥と仲の良いシオリが走り始めた。それが、スタートの合図。まだ、放送が終っていないが全員が、我先にと教室の扉に向かって走り出していた。オノDも風間も。
 
 全員が校庭に避難し終わった時、町から黒煙、爆発、銃声などが起きているのが分かった。
「どうなってんだよ!?」
 オノDが叫ぶが、答えられる人間は誰もいない。
 爆音と同時に、白い人のような物がこちらに向かってきた。
 二年四組以外の生徒は、見たことが無い物であった。
「アーム――」
「アームスレイブだ!!」
 オノDの声を遮って、風間が興奮した声で叫んだ。
 人体を模したハイテク武器――アームスレイブ。二年四組の生徒は過去に二回、実物を見たことがあった。
 一回目は、4月の修学旅行でハイジャックされた時。
 二回目は、12月のパシフィック・クリサリス号の時だ。
 二度ある事は三度ある。ということわざがあるが、本当に三度目が来るとは誰も思わなか――いや、思いたくなかった。
 修学旅行の時も、クリスマスの時も、奇跡的に誰も死んだりはしなかったが、今度も奇跡が起こるとは限らない。今度こそ、誰かが死ぬかもしれない。ド
ジだが本当に他人思いの先生。アーミーオタクのちょっとヤバイ級友。恋に生きると誓った女子生徒。いつもハリセン振り回す級友に、それを宥める級友。
そして、いつも危険な物をもって来る級友。他にもたくさんいる仲間が、死ぬかも知れない。
 そんなのは嫌だった。
「オノD!! 何か、マズイ感じだよ」
 目の前で二機のASが静かに対峙していた。

 続く

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