2014.02.20 11:06
この青空の下で by 深夜
どれぐらいの時間が経ったのだろう。
ここには日本の桜のように、春の訪れを知らせてくれるものがない。けど―――
空を見上げる。
雲一つない青空とまぶしい太陽の輝き。
暗い海の底には届かなかった温かい光、そんな輝きを浴びられるのだからこれはこれで悪くない。
「テスタロッサせーんせーいー!」
向こうから子供たちが駆け寄ってくる。
どうしたの、尋ねると「また教頭が……」と答えが返ってきてつい笑みがこぼれる。
マデューカスさんには申し訳ないけれど、子供たちを前に困る彼の姿を想像したら、やっぱりおかしくて笑みがこぼれてしまう。
すぐに行くからと子供たちを先に行かせ、最後にもう一度だけ空を見上げる。
どこまでも広がる青空。この青空の下であの二人は頑張っているのだろうか。
……考えるまでもない。あの二人のことだ。きっとそうに決まっている。
懐かしむような、だけど何処か寂しげに微笑む。
―――私はなれましたよ。武器など必要ない女に。
貴方はどうですか? サガラさん。
あとがき
さりらさんに見せてもらったイラストとチャットでの会話で閃いた。
たった356文字の夢物語。原稿用紙一枚分だけの小さな世界。
「テッサのハッピーエンドって何だ?」と考えて思いついたのが「学校の先生」。
暗い海の底で戦い続けた→太陽の下で笑えるように
昔、ある事情で学校に通わなくなった→学校の先生に
一人の人間を愛して→みんなから愛されるように
誰かの未来を奪った→子供達の未来を作る
と、こんな感じにいい方向へ行ったらいいなぁと。
シスター・テスタロッサという案も良さそうに思ったんですが、それよりも太陽の下で子供たちの笑顔に囲まれている方が幸せそうな気がしたので。